電車内で化粧する女性は許せる?許せない?

オヤジ体臭と化粧品香料、どっちが厳しいか

今回の車内メークの問題を、法的な観点から見るとどうなのか。弁護士法人サリュの籔之内寛弁護士に話を聞いた。

「法律や鉄道会社の約款で、『電車で化粧をしてはいけない』と定めるものはないので、法的に電車内での化粧を禁じることは厳しいでしょう。あくまでマナーの問題」とする一方で、トラブルが生じた場合、慰謝料等の訴訟問題に発展する可能性もあるという。

「化粧に関連する行為により第三者に損害が生じた場合は、化粧していた人が責任を負う場合が観念的には否定できません。たとえば、化粧中に電車が大きく揺れて鏡が割れて人にケガをさせた場合などは、電車の揺れを生じさせる原因を作った者(線路に立ち入り電車を急停車させた人、電車を異常な速度で走行させる運転士等)がメインで責任を負うでしょう。

しかし、化粧をしていた人が自身の過失により手元を滑らせたことが原因であれば、賠償の責任を負う可能性があります。たとえば、隣の乗客の顔に線状の傷を生じさせ、3cm以上の後遺障害が残ってしまった場合、後遺障害慰謝料として290万円程度の支払義務が生じることがあります」とのこと。

化粧をして、トラブルはおろか周囲にケガを負わせてしまったらどうにもならない。盛り鉄女子たちには、こうした危険性があることもぜひ理解してほしい。

公共の場としての「電車」とどう向き合うか

今回の件について取材を進めるうちに、「特に気にならない」という意見も多く出くわした。気にならないと発言するのは男性が多い感覚である。一方で筆者のような盛り鉄反対派は、女性が多い。ある種、同族嫌悪のようなものを感じているだけだろうか。また「私たちは早く起きて、化粧をすませてから電車に乗っているのにズルい!」という本音も、嫌悪感を増幅させている気がする。

もしかすると、これは校則を破る不良生徒vs.風紀委員の構図に似ているのかもしれない。「校則守りなさいよ!」とキーキー訴える風紀委員に対して、「校則なんて破ったもん勝ち」と言わんばかりの不良生徒。残念ながら両者がわかり合うことはないだろう。

電車は、公共の場である。実にさまざまな人がいる。自分の想像を超えた珍妙な行動を取る人もいる。さまざまな価値観を持つ人が集うパブリックスペースであるだけに、ある程度は目をつぶるべきなのかもしれない。筆者は盛り鉄女子に出くわすと、視界に入らぬようにそっと目を閉じるようにしている。

すべての乗客にとって快適な車内空間になるよう、マナーの向上を心から願うばかりだ。

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