電車内で化粧する女性は許せる?許せない? オヤジ体臭と化粧品香料、どっちが厳しいか

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たとえば「ニオイがきつい」という指摘。一流の化粧品には香りの強いものがあり、使う側は優雅な気分になる一方で、他人は迷惑に感じてしまう。そのほか「化粧中の女性のひじが当たってくる」「アイメークの筆が目に刺さりやしないかコワイ」などのつぶやきが。筆者も、お粉がこちらに飛んできたり、口紅が服についてしまったりしないかヒヤヒヤする。このように多くの乗客たちは声に出さないだけで、多かれ少なかれ不快な思いを抱いているのだ。

化粧のニオイが苦手な男性もいる(写真:mits / PIXTA)

また車内メークが原因で、乗客同士のトラブルに発展するケースもある。筆者が実際見たのはこんな光景である。

ある日、電車の中で40代と思しき女性がこってりと化粧をしていた。隣にいたオジサンが「こんなとこで化粧するな!」と注意。すると一瞬の間を置いて、「うるせ~んだよ、ジジイ!」と甲高い声で威嚇し始めたのである。うわ、始まったな……と、周囲の乗客は気まずそうに目をそらし、耳だけで聞いている。

2人の口論は続き、「化粧品がくさいんだよ」というオジサンの意見に対しては、「お前の体臭のほうがくせえんだよ、ジジイ!」とのお言葉である。「化粧がくさい」「体臭のほうがくさい」という水掛け論の結果、オジサンのほうが根負けして、別の車両に移ってしまった。オジサンの名誉のために言っておくが、私は彼の隣に座っており、体臭は無臭であった。

女性の口の悪さに失望したのもさることながら、論点をすり替えて他人をたたくのは、盛り鉄女子の習性とも言える。彼女たちは「じゃあ前で足を開いて座っているオジサンはいいんですか」「じゃあヘッドフォンから音楽が漏れている人はいいんですか」と反論してくるのだが、どれも同類のマナー違反である。

こうした乗客同士のトラブルは、決して気持ちの良いものではない。快適な車内が一変、車両の隅々に気まずさ、不快感、恐怖、嫌悪感が充満する。遭遇してしまったら「早く目的地に着かないかな」と念仏を唱えるのみである。

鉄道会社は、実害を及ぼす行為であると警笛を鳴らす

物議を醸す盛り鉄女子たち。これに対して、鉄道会社はなにか策を講じているのだろうか。化粧を含めあらゆる「車内マナー向上」のため、広告やアナウンスでの呼びかけを行う東急電鉄に話を聞いた。

「車内での化粧は、なるべく控えていただきたい行為ですが、お客様の良心と判断に任せています」とする一方で、「化粧は、ほかの乗客に『実害』を及ぼす可能性がある行為であると認識してほしい」という。

「化粧品のにおいで気分が悪くなる人が出たり、周囲の人の洋服が汚れたりするおそれもある。電車の揺れで、化粧品や鏡が手を離れて飛んでいってしまったら、ケガをさせるおそれもある。こうした『実害』があることを理解していただきたい。また、トラブルが起きてしまった場合、電車が止まり、ダイヤ乱れの原因にもなります。当社としては、すべてのお客様に快適に過ごしてほしいという思いがあります。マナー向上の、ご協力をお願いします」とのことだった。

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