ヤマト「クール宅急便」常温仕分けのナゼ 社内違反事案が過去にも発生。問われる経営責任
クール宅急便をめぐる社内違反事案はこれまでにも生じていた。2011年12月下旬、兵庫県尼崎市の西大阪主管支店で、常温で運んでいたことが発覚。同社は当時、寒波による交通渋滞などで配送に乱れが生じ、冷蔵設備のある車両を確保できなかったためと説明していた。翌2012年2月に、同社は社長直轄でクール宅急便の品質改善のための部署(クール宅急便品質向上促進室)を新設、改善策を施している。
今年4月からは、名称を「クール宅急便品質改善課」に引き上げるとともに、中元シーズン前の5月からはクール宅急便品質向上期間を実施、冷凍・冷蔵のクール宅急便機材の充足や現場社員の意識向上を、全10支社、全69主管支店(ベース)、約4000営業所などに働き掛けていた。
さらに、全国2000人ほどの支店長(複数の営業所統括者)全員には、今年5月から順次「食品衛生管理者」の資格認定講習会に参加させていたという。
また、ある大手スーパーから今年6月ごろ、クール宅急便の荷物の温度が一時大きく上昇していたため、ヤマト側に温度管理の改善を求められていたという。このスーパーにも、クール宅急便の温度管理に関する情報が寄せられていた。
機材の拡充、意識改革が重要
これまで、さまざまな違反事案に対しても改善策を打ち出してきた同社だが、今回のような顧客の信頼を裏切る事案が恒常的に行われていた事実は、経営管理責任者には何も報告されていなかった。この構造的な問題に対する同社の経営管理責任が問われるのはもちろんだが、今後はクール宅急便機材の充足などハード面の対応だけではなく、末端の現場社員にまで行き渡る指示徹底の方策など意識面での改善向上策が不可欠だ。
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