北朝鮮未婚女性は「避妊率4.29%」という事実 8500世帯調査で「北朝鮮の実生活」が明らかに

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調査によれば、対象になった8500世帯すべてに電気が通っている。ほぼ全世帯に電線が引き込まれ、配電網につながっていない0.3%の世帯も何らかの形で電力を得ている。この調査が行われる1年前の2016年に世界銀行が行った調査では、北朝鮮の電化率は39.2%にとどまっていた。

ただ、北朝鮮は以前から深刻な電力不足に悩まされており、こうした状況は現在も変わっていない。

ラジオ所有率94.1%、テレビは98.2%

家電製品は広く普及している。ラジオを所有している世帯は全体の94.1%、テレビは98.2%、固定電話および携帯電話が74.2%で、CDプレーヤーを持っている世帯も75.5%に上った。

米インターメディアも以前、これと同様の調査結果を公表していた。同社が北朝鮮国民350人を対象に行った17年の調査では、98%が自宅でテレビを視聴できると回答。「テレビやDVDプレーヤーといった家電製品は社会的、経済的、政治的な地位とは関係なく、北朝鮮のほぼ全世帯に行きわたっている」とインターメディアは報告していた。

北朝鮮政府による今回の調査によれば、15〜49歳の年齢層では女性の47.9%、男性の55.7%が携帯電話を所有。85.7%の男女が、調査時点から数えて3カ月以内に携帯電話を使ったことがあると回答した。

北朝鮮の携帯電話利用者数に関するデータはしばらく更新されていないが、同国で携帯電話事業を展開するコリョリンクは15年時点で300万人の契約者数がいるとしていた。携帯電話を利用している人の姿は、とりわけ平壌市内ではどこでも見かけるようになっており、携帯電話専門店の数もここ数年で増えてきている。そうした状況を考えれば、首都・平壌に住む世帯で携帯電話の所有率が89.7%に達したのは驚くようなことではないのかもしれない。

また、調査対象世帯の18%以上がパソコンまたはタブレット端末を所有していることもわかった。ただ、インターネットに接続できる世帯は1.4%しか存在しない。北朝鮮では国民の圧倒的大多数がインターネットへのアクセスを許されていない。代わりに用いられているのが北朝鮮独自の閉じられたイントラネットで、ここに政府公認の情報が流れる仕組みになっている。

冷蔵庫を所有している世帯は全体の約3分の1で、冷凍庫を所有している世帯も20%を上回った。3分の2近くが炊飯器を持ち、15.5%の世帯には洗濯機がある。85.3%の世帯では調理には伝統的なかまどを使っており、主な燃料は石炭(62%)で、これに薪(20%)が続く。石炭は69.9%の世帯が暖房にも用いており、21.4%は薪を燃やして暖をとっている。

移動手段としては、自転車が最も一般的なようだ。少なくとも家族のうち1人は自転車を持っていると回答した世帯は全体の83.1%に上った。オートバイやスクーターを所有している世帯は5.2%で、1%が牛などの動物が牽引する荷車を持っている。

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