企業が年配の人材を積極的に雇用すべき理由 年配の労働者は辞めずに働いてくれる
この調査によると、高齢従業員の退職による短期的影響を分析した米企業は35%にすぎず、10年の長期的影響を検討した社は17%しかなかった。
ほとんどの雇用主は、1、2年を越えて影響を検討する仕組みを持ち合わせておらず、大半は、高齢の労働者を積極的に採用していない。
同協会のアレックス・アロンソ氏は、この調査が実施されて以降、雇用主は同問題により注目するようになっているとみている。
「ほとんどの取締役会で、最近ではこの問題が緊急性をもって扱われるようになっている。だが、いかに事業を維持するかが会話の中心で、多世代にまたがる従業員をいかに管理するかに関心が集まっている」と、アロンソ氏は言う。
年齢差別も根強い問題
証明することは難しいものの、年齢差別も根強い問題だ。だがこの10年あまりの研究で、生産性ややる気が低く、新しいことを習得したり問題を解決したりする能力で劣るなどの高齢労働者のステレオタイプは、随分と覆されてきた。
それでも、偏見は残る。
コンサルティング会社デロイトが全世界で行った調査では、41%の企業が、従業員の高齢化は競争面で不利をもたらすと回答した。割合は、国ごとに違いもみられた。
「文化的な問題もある」と、デロイトのプリンシパル、ジョシュ・バーシン氏は言う。
デロイトのような雇用主は、労働市場がタイトになるにつれてこの問題の重要性に目覚めつつあると、バーシン氏は言う。
「世界中の企業の人事部門とやり取りしているが、彼らは、最適な人材を探すのに最善の場所の1つは、すでに抱えている従業員だということに気づき始めている」