日本女性が「35歳からの服」で変えるべきこと 大草直子さんが語る「5つの重要鉄則」

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――なるほど。歳を重ねるにつれて、似合うようになる色味というのは決まっていたりするのでしょうか?いわゆる深みがある色が似合うようになるとか。

厳密に言えば人によっても違うのですが、少しグレーがかったアンティーク調の色のほうが、年齢とともに似合うようになる傾向があります。昔からずっと好きな色があって、楽しくてウキウキして出掛けられる色だったのに似合わなくなってしまった、と思ったら、まずはちょっと違う色味を試してみてください。

たとえば、ピンクが好きな人は、少しくすんだピンクにしてみる。みんなが大好きな可憐で華やかなローズから、ビンテージ風のローズにしてみる。

20代の頃とずっと変わらないなんて人はいないので、似合わなくなる色が出てくるのは当然なんです。似合わなくなったと感じたら、色の濃度や調子を変えてみればいいだけ。難しいことはありません。

ルール⑤靴から決めると上手くいく

――最新刊の中に「毎日のコーディネートは靴から決める」というメソッドがありました。

「靴から決める」というルールを始めたのは、30代中頃だったと思います。下積みが明けて、急に仕事が増え、引っ越したり再婚したり2人の子どもの育児と仕事に追われていた時期でした。

それでも、適当なファッションで人前に出ることはできません。私の仕事なら、尚更そうです。そんなとき、靴から決めていくと失敗が少ないし、時短になるということに気づいたんです。

――靴から決めるというのは、トップスやボトムスよりも持っている数が少ない靴から決めると合理的、ということですか?

大草さんの新刊『大草直子のSTYLING&IDEA 10年後も使える「おしゃれの結論」』(講談社)
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そうです。皆さん、その日に着る洋服はトップスから決めがちなのですが、実はいちばん多く持っているのがトップスですよね。数が多いものから決めていくと、その次の選択肢が先細りになっていってしまうんです。

たとえば、朝から雨が降っている日、朝ちょっと子どもの学校に寄ってから、日中はずっと撮影、そして最後は夜にレセプションというスケジュールだったとします。そのスケジュールに対応できる靴は、エナメルの黒色のバレエシューズだけなので、靴が決まります。ボトムスは、ヒールが履けないとバランスが取れないのでタイトスカートは消える。黒のクロップトの八分丈パンツしかないかな。それなら、トップスも黒にしたほうがフォーマルに見えるかな、と数が少ない靴→ボトムス→トップスの順番で決めていく。

この足元から決めていくというのは、とても合理的(インテリジェンス)な選び方で、30代以降の女性にぴったりだと思っています。

これらのアドバイスはすべて、私自身も悩み倒した時代があって、「おしゃれ更年期」のトンネルも超えてきたから言えることです。今まさに悩んでいる方たちには、ファッションでも仕事でも、停滞期や更年期というトンネルは必ず明けるということも伝えたいですね。

と言っても即席の解決法はなくて、目の前にあることを一つずつ整理して、片付けていくこと。それが次に繋がっていくのではないかと思います。私のファッションルールが迷える世代の助けになることを祈っています。

ファッションは、自分を映す鏡のような存在。大草直子さんのスタイリング術は、時に辛辣だけれど、理論的で単純明快、とても分かりやすいルールなので、少しずつ取り入れていくこともできるのではないだろうか。
そして、本来は女性向けのスタイリストとして活躍している大草さんなのだが、「夫の洋服選びが難しい」という奥様や同世代の男性からの声を受け、男性のファッションルールについても記事にすることに。次回は、30代半ばからのアラフォー世代、5つのファッションルール“男性編”を紹介する。
藤村 美里 TVディレクター、ライター

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ふじむら みさと / Misato Fujimura

都立国分寺高校、早稲田大学卒業後、テレビ局入社。報道情報番組やドキュメンタリー番組でディレクターを務める。2008年に女児出産後、視点が180度変わり、児童虐待・保育問題・周産期医療・不妊医療などを母親の視点で取材。2013年に退社し、海外と東京を往復しながらフリーで仕事を続けている。Twitter @MisatoFujimura 

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