女性が「35歳からの自分」を受け入れるヒント 大草直子さんが語る「選択と決断」

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――歳を重ねたことによる体型や肌の変化を自覚し、さらにそのままの自分を認めることが必要、ということでしょうか。

そうですね。自分自身を否定せずにきちんと認めてあげて、変化した自分という素材に対する料理法を変えていけばいい。もっとあっさり仕上げればいいとか、反対にもっとソースを多くすればいいとか。

歳を重ねた自分を認めにくいというのは、日本独特の雰囲気も関係しているかもしれません。確かに若いほうが良いという風潮は実際にあります。でも、社会のせいにしていても仕方ないですよね。

歳を重ねるということは、嫌なことでも、後ろ向きなことでもない。退化ではなく進化なんだと。本当に心からそう思えるようになると、日本の女性はもっと美しくなれる。

毎年必ず歳は重ねていくものだから、それを思い悩んでいても意味がないんです。編集長を務めてきた「mi-mollet(ミモレ)」という媒体を中心に、このメッセージを発信し続けてきたのは、私自身も、受け入れる作業に時間がかかったからなんです。

「選択と決断」を繰り返した3年間

――この6月で「mi-mollet」の編集長を卒業し、コンセプトディレクターに就任するということですが、この仕事をしていた直近の3年間は、大草さんにとってどのような期間でしたか?

大草直子さん(撮影:梅谷秀司)

その前に携わっていた「DRESS」という雑誌では、編集長が作ったコンセプトをお手伝いする、盛り上げるという立場での参加だったのですが、「mi-mollet」では私が編集長という立場で、最初のコンセプトからすべて決めさせてもらいました。講談社という大きい会社がよくここまで任せてくれたな、と思っています。

最初に決まっていたのは、ターゲットが40代女性ということくらいでしょうか。出版社がやるWebメディアである以上、どんなメッセージを伝えるかということが大切だと思って、先ほどの「歳を重ねることはマイナスではない」という思いを発信したいという話をしました。

「歳を取ることは決して怖いことではないし退化でもない、もしかしたら進化なのかもしれない。美しい秋のような季節なんです」ということが伝えたかったんです。決して下り坂の始まりではなくて、ここからスタートする豊かな季節の始まりなんですよ、と。

そして、決して女性同士が比較し合うことがない世の中になるといいよね、と。旦那さんや子どものこと、自分のキャリアのこと、そんなことで優劣をつけるのは本当にどうでもよくて、協力し合い、融和していけるといいなと。

洋服や自分の見せ方について悩んでいるときは、自分の生き方について悩んでいるときであることが多い気がしています。自分の人生に迷いがあるときほど、洋服選びもパッとしなくて、困ったということはありませんか。40歳前後というのは、プライベートや仕事でも、自分の立ち位置が変わってきて、悩むことが多い時期なのかもしれません。

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