ベトナムで反中感情が再燃している必然理由

政府の外資誘致に抗議デモ

 6月19日、中国に対する問題が浮上した場合、ベトナムの世論がどれほど簡単に一本化され、抗議する市民を動員できるかは、この国の各都市で起きている数千人規模の抗議行動が物語っている。写真は17日、ベトナムのハティン省で、外国企業向けの経済特区計画などに反対する人々の抗議デモ(2018年 ロイター)

[マニラ 19日 ロイター] - 中国に対する問題が浮上した場合、ベトナムの世論がどれほど簡単に一本化され、抗議する市民を動員できるかは、この国の各都市で起きた数千人規模の抗議行動が物語っている。

ベトナムで厳密には違法とされるデモが今月、2週連続で週末に発生した。その引き金となったのは、外国企業向けの経済特区を沿海部に設置するとの計画が、中国企業がベトナムに進出する足掛かりになるのではないかという国民の懸念を招いたことだ。

中国の「横暴」

この経済特区の計画自体には、中国への言及はない。たがベトナム国民の感情はすでに定まっているようだ、と複数の政治アナリストは言う。中国の利権がベトナムの国策に影響を及ぼしているという根強い疑惑をあおるようなフェイスブック投稿が人気を集めている。

問題の核心には、中国の「横暴」に悩まされてきたという数世代にわたる国民の怒りが、政権を担うベトナム共産党に対する信頼感の欠如と重なり、爆発しやすくなっているという背景がある。

「ベトナム政府は国内の反中感情を過小評価している」と語るのは米戦略国際研究所の東南アジア専門家マレー・ヒーバート氏。「ベトナム国民の多くは、国の主権を中国から守るための政府努力が十分ではないと考えている」

フェイスブックなど、ベトナム国民9000万人の半数が利用しているソーシャルメディアによって、こうした怒りが爆発しやすく、抑制しにくいものにしている。

次ページ経済特区に関する議決を10月に先送り
政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • おとなたちには、わからない
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • コロナ後を生き抜く
  • 今見るべきネット配信番組
トレンドライブラリーAD
人気の動画
ついに上場廃止、大塚家具の末路
ついに上場廃止、大塚家具の末路
日本初、「工場を持たない」EVメーカー誕生の衝撃
日本初、「工場を持たない」EVメーカー誕生の衝撃
日本人に多い「腸を汚すフルーツの食べ方」4大NG
日本人に多い「腸を汚すフルーツの食べ方」4大NG
男性も入れる?新業態『ワークマン女子』の中身
男性も入れる?新業態『ワークマン女子』の中身
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
2050年の中国<br>世界の覇者か、落日の老大国か

米国と並ぶ超大国を目指す中国。しかし中国の少子高齢化はこれまでの想定を超える速さで進行しています。日本は激変する超大国とどう付き合うべきか。エマニュエル・トッド、ジャック・アタリ、大前研一ら世界の賢人10人が中国の将来を大胆予測。

東洋経済education×ICT