いきなりステーキ、「黒烏龍茶」大刷新のワケ 6月中旬にサントリー製品からPBに切り替え

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過去には、黒烏龍茶が店舗原価を圧迫していたとして、提供サービスを休止していたことがある。2016年1月12~18日の間、ドリンクサービスはコカ・コーラ、コカ・コーラゼロ、ウーロン茶で対応していた。しかし「クレームの電話が殺到し、すぐに復活させた」(運営元であるペッパーフードサービスの川野秀樹取締役)ということからも、黒烏龍茶はリピーター獲得につながっていたことがうかがえる。

その後も試行錯誤は続いた。2016年8月5~10日に関東直営店の20店舗で、健康感を訴求する飲料としてトマトジュースを試験的に導入した。ゴールドカード以上のカードの保有者にサービス対象として提供していたが、採用には至らなかった。

常連客からは厳しい声も

今回の黒烏龍茶の切り替えについて客の反応はどうか。常連客からは「サントリーの黒烏龍茶とは濃厚さが違う。サービスの低下感は否めない」「サントリーの黒烏龍茶ではなくなると来店動機が薄れる。実際に来店頻度は下がっている」という声が聞かれた。

2017年12月末時点のいきなり!ステーキの国内店舗数は186。今2018年12月期は200出店を計画しており、1年で総店舗数を倍以上にする計画だ(撮影:梅谷秀司)

ただ実際のところ、今回の黒烏龍茶の切り替えはコスト削減の意味合いが強いだろう。黒烏龍茶は店内で飲食する客に300円(税抜き)で販売しているが、マイレージの特典で無料提供を受ける客が多い。会社側も「かつての黒烏龍茶よりもコストを抑えることができている」と話す。

商品の規格を見直す中、店舗網は順調に拡大している。今2018年12月期については、前期比2.8倍となる200出店を計画。1~6月の出店数は95と計画に近い線で推移している。一方で、足元の既存店動向は停滞している。2018年3月まで12カ月連続で既存店の売上高、客数ともに前年同月を超えていたが、4月には連続記録が途絶えた。さらに5月は売上高が9.8%減、客数が9%減だった。

そんなさなかに黒烏龍茶の仕様が変更されることになった。たかが黒烏龍茶、されど黒烏龍茶。今回の刷新は既存店の動向にどのような影響を及ぼすだろうか。

常盤 有未 東洋経済 記者

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ときわ ゆうみ / Yuumi Tokiwa

これまでに自動車タイヤ・部品、トラック、輸入車、楽器、スポーツ・アウトドア、コンビニ、外食、通販、美容家電業界を担当。

現在は『週刊東洋経済』編集部で特集の企画・編集を担当するとともに教育業界などを取材。週刊東洋経済臨時増刊『本当に強い大学』編集長。趣味はサッカー、ラーメン研究。休日はダンスフィットネス、フットサルにいそしむ。

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