和歌山の小さな織物会社に世界中から熱視線 高級ブランドがフェイクファー技術を羨望
さらに、フェイクファーは毛が長いために、縫製パターンに基づく生地の裁断をするときに毛もカットされてしまう。同社はこの問題を島精機製作所の技術で解決した。従来は手作業頼みで、裁断工程がボトルネックだった。
このため、ものづくり補助金を活用して、ファー素材を裁断できるようにカスタマイズした自動裁断機を島精機から購入した。この裁断機導入により、手作業以上に正確で精細なカットが行えるうえ、6分の1以下の時間に短縮するなど作業能率も向上した。さらに型紙で従来対応してきたパターンの依頼者とのやり取りや受注履歴管理もデジタル化され、顧客対応の効率化も実現した。
岡田織物のフェイクファーは中国製と比べると価格はかなり高く、数倍以上にもなる。しかし、中国メーカーにはまねのできない手触りの滑らかさ、毛の抜けにくさがある。それが高級ブランドに支持されているのだ。
動物保護の考え方に真剣に向き合う人が増えてきた
国際毛皮連盟(IFF)は、毛皮の使用をやめたブランドは、石油産業の副産物であるプラスチックで作られた合成毛皮、およびそれに伴うすべての環境汚染や地球への害を促していることになると反対している。
だが、リアルファーからフェイクファーに移行する流れは止まるどころか、大きくなる一方だ。それは人間の動物利用という問題に人類が真剣に向き合いはじめたからだ。
毛皮は人類最古の衣服とも言われ、長年、世界中で利用されてきた。
富の象徴としての毛皮の需要が新興国の発展とともに拡大し、天然動物の乱獲や毛皮動物の家畜化を促進し、劣悪な環境での飼育や残忍な毛皮剥ぎなどが動物保護団体によって暴かれている。毛皮産業側は、そうした状況はほんの一部に過ぎないとしているが、フェイクファーがリアルファーに近づくにつれ、動物保護に舵を切るブランドが増えているということだろう。
クールジャパンの標語のもと観光分野でインバウンド消費が話題だが、地道に努力を重ね、磨きあげた日本の地場産業の技術が世界に注目されていることは日本の誇りだ。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら