貧困の子を救う「子ども食堂」が抱える課題 安心・安全な場所にするために必要なこと
湯浅:地域でできることはまだまだあると思っています。役所も、一軒一軒訪問して回るというのは人手的にも限界です。でも、集まる場がもっとあれば、その中で気づくこともある。「地域的養護」という言葉を最近よく言っているのですが、今までは「家庭的養護」と「社会的養護」しかなかったんですよね。「社会的養護」、つまり親の親権を止めるということはよっぽどのことなので、ギリギリまで家庭で頑張れと言うのですが、家庭だってそんなに頑張れない。そんな中で今回、目黒で悲惨な虐待事件も起こっています。ワンオペ育児でとても疲れて大変なお母さんは、子どもがどれだけかわいくても、やっぱりしんどいときはきつくしかってしまうわけですよね。覚えているのは、こども食堂に来たお母さんが「ここで週1回子どもと一緒に食べられるから、普段もう1品おかずを増やそうという力が湧いてくる」と言っていたこと。「ああ、親支援にもなっているんだな」と思いました。こういうことが、家の中で親子が楽しく過ごすために必要なんだと思います。
堀:そうですよね。「自助」「共助」「公助」の中で「共助」の部分をどう構築するのかというのが課題だと言われてきましたが、こども食堂はある意味、そのベーシックな部分を創り始めていますよね。
湯浅:そう思います。もちろん、こども食堂だけですべての問題が解決するわけではまったくありません。でも、こういうところがわーっと広がっているということは、やはりそこがまだ足らなかった領域だったということを逆に示していると思いますし、まだまだ広がっていく可能性があると思いますね。
堀:最後に改めて、メッセージをお願いします。
湯浅:こども食堂を安心・安全な場所にして、すべての子どもがアクセスできる場所にしていきたいということで始めたクラウドファンディング。全国200のこども食堂が保険にしっかり入って、周りの人たちに「自分たちは安心・安全な場づくりをしていますよ」ということを堂々と伝えられて、それによって地域の人たちも「ああ、大丈夫なところなんだな」と理解してくれる、そういう地域づくり、社会づくりをやっていきたいと思っています。今回のことだけではなく、まだまだ課題はたくさんあります。これからも一つひとつ乗り越えていきたいと思うので、ぜひご協力いただければありがたいですし、引き続きご注目いただければありがたいです。よろしくお願いします。
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