女子小学生「大人顔負け」な今ドキお洒落事情 靴箱にヒール、高校生からナンパも
ある日、祖母に買ってもらった1万円程するブランド物の新作ワンピースを学校に着ていくと、教師から「セーブしてください」と注意された。クラスメイトからは「服装が気に入らない」と直接言われたこともあったという。最初は学校用と週末用に服を分けていたが、娘は
「どうしてオシャレしちゃいけないの? 周りに決められずに、自分の好きな服を着ていきたい」
と譲らなくなった。親に買ってもらえないときは月600円のお小遣いやお年玉、祖父母からのお小遣いなどをやりくりして購入する健気さに、親として「好きなことを応援したい」と考えるようになったという。
「露出したり髪を染めたり、ルールを破るようなことはしていないし、おもちゃやゲームにお金を費やすよりは良いかなと思っています。最近はファッションデザイナーという仕事にも興味があるようで、せっかく自分で見つけた好きなことを尊重してあげたいと思っています」
数年前に初めて買ってあげた小学生向けのファッション誌を毎号ボロボロになるまで読み、掲載されていたアイテムを欲しがるという。
「プリキュア」もオシャレに
子ども関連市場に詳しい大正大学の白土健教授は、オシャレに対する変化は子どもたちが楽しむアニメの中でも起きていると指摘する。
「例えば2004年に始まった『プリキュアシリーズ』はいまも子どもたちに大人気ですが、変身前の私服を比べると1作目はいまよりずっと庶民的でした。ほとんど服装が変わらない『ひみつのアッコちゃん』や『アルプスの少女ハイジ』の時代とは大きく変わっています」
H&MやZARA、GAPのような大人から子ども服まで展開するファストファッションの登場も、子ども服の大人化を後押しし、親子でお揃いの服を着たり、色や柄などを部分的に合わせるリンクコーデを流行らせた。インスタグラムなどで子どもの着こなしをアップするアカウントも増えている。
「いまの子たちが急にオマセになったわけではありません。昔から親の服やメイク道具をこっそり試してみたり、隠れてオシャレをしてきた子はいましたが、オシャレも個性の一つとして認める親が増えたことで、表立ってできるようになったことが背景にあると思います」
そう話すのは、小学生向け雑誌で最も部数が多い『ニコ☆プチ』(新潮社)の馬場すみれ編集長だ。読者の親世代の中心は30代。学生時代から個性を尊重する教育を受けてきた世代にあたる。