実は周りに迷惑?「残念」な列車内の行動10選 飲食、電話、におい…あなたは我慢できる?

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気を利かせて、座席を元に戻してくれればいいのだが、後から乗ってきたのだから文句を言うなと言わんばかりの傲慢な態度の人間もいる。そんな乗客に限って、車掌が注意しても聞かない。これぞ、残念というよりは傍若無人の迷惑行為である。「4人そろったときに限って席を転換させる」のがマナーであろう。

子どもはうるさくて当然ですが

10)グリーン車の子ども

子どもは泣いたりはしゃいだりするのが商売みたいなものだから、うるさいのはしょうがない。公共の空間であればたしなめるのが親の心得であろうが、混雑した自由席や、特に夏休みや年末年始の車内であれば、風物詩のように思い、あきらめている人も多い。ところが、グリーン車となると事情が一変し、苦情の嵐となる。新聞などの投書やネットのコメント欄も、子どもをグリーン車で遊ばせるとは何事かとの文句が絶えない。

携帯電話禁止、禁煙、静寂喚起とさまざまな利用制限のあるドイツの高速列車(筆者撮影)

ごく一般的な庶民にとっては、グリーン車は高嶺の花。そうそう乗れるものではなく、大枚をはたいて、ちょっとぜいたくしたいとの思いから乗る人も少なくない。自由席は混雑するし、窮屈だから、ゆったりしたいとの思いからグリーン車を選ぶのであろう。ところが、近くで子どもが騒いだり車内を走りまわれば、無理をして追加料金を払ったのに、どうしてこんな不愉快な思いをしなければならないのかとキレるのであろう。それとも、子どもの頃からグリーン車に乗るなどぜいたくだ、と自らの過去と比較して、やりきれなく思う人もいるのだろうか?

親にしてみれば、窮屈な車内が嫌だから、逆に無理をしてグリーン車を選んだ場合もあろう。もっとも、いくら富裕層であっても、子どもの頃からあまりぜいたくさせるのはどんなものだろうか、と教育上の観点からも気になることではある。自分で稼いでいないうちはぜいたくをさせてはいけないのでは……と庶民は思ってしまう。

列車内というのは、公共空間だけにさまざまな配慮が必要になってくる。また、乗車目的も観光からビジネス、親睦から現実逃避に至るまでさまざまであるだけにトラブルも起きやすい。そういう意味では、食堂車や観光列車、子ども向けの車両など一定の目的に特化した列車は、これからも必要になってくるであろう。

野田 隆 日本旅行作家協会理事

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のだ たかし / Takashi Noda

1952年名古屋市生まれ。早稲田大学大学院修了(国際法)。都立高校に勤務のかたわら、ヨーロッパや日本の鉄道旅行を中心とした著作を発表、2010年に退職後は、フリーとして活動。日本旅行作家協会理事。おもな著書に『にっぽん鉄道100景』『テツはこんな旅をしている』『シニア鉄道旅のすすめ』(以上、平凡社新書)、『テツ道のすゝめ』(中日新聞社)、『ニッポンの「ざんねん」な鉄道』(光文社知恵の森文庫)、『テツに学ぶ楽しい鉄道旅入門』(ポプラ新書)などがある。

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