講談社「ボンボンTV」、華麗な復活劇の舞台裏 漫画編集者はユーチューバーを志した
レギュラーメンバーのよっちとえっちゃんが登場するこの動画。2018年5月現在、再生回数は1000万を超えている。動画に寄せられた3000件以上のコメントを見ても、「この動画がボンボンTVと出会ったきっかけ」「この動画でボンボンTV見る人続出」といった内容が多い。社員クリエイターのふたりが生み出したこの反応を見て、安永氏は思い知る。
「(自分に)ペットボトルをまるごとグミにして、という発想はない。いままで何をやってたんだろう、と目からウロコだった(笑)」
このグミ動画が公開された2016年3月に、ボンボンTV全体の月間再生回数がはじめて2000万回を突破する。同年2月の同数字は、500万回程度だったのが、一気に4倍伸びた計算だ。開局からわずか9カ月で達成したこの記録は、当時のUUUM史上最短のものだという。以降、ボンボンTVにはずみがついた。
その後、口コミで広まり、開局2年目で黒字化も達成した。チャンネル登録数もすでに127万を越えている。企業とのタイアップ動画は、現時点で90本以上を制作。講談社の関連アニメのPVも流しており、シナジー効果も生まれはじめた。「この黒字化へのスピード感もデジタルならではと感じた」と、安永氏は語る。
「育てる気持ちはない」
開局当初は、はじめしゃちょーやフィッシャーズなど、すでに名前が売れているUUUMのクリエイターをゲストに呼び、メディアの成長を頼っていた。だが、その後、いっちー、なるといったオリジナルメンバーだけでも数字を稼げるようになる。また、UUUMの社員クリエイターとしてボンボンTVに登場していたえっちゃんは、2018年5月よりUUUM専属クリエイターとして活躍するようになった。
「どのようにクリエイターを育てたのか、という質問をよく受ける。だが、育てる気持ちはない。なぜなら自ら育つから」と、安永氏はクリエイターとの接し方について説明する。「面白い動画を作るのが最優先。なので、育てるというのはおこがましい。彼らが企画して、出演し、撮影・編集もしている。我々ができることは、彼らが自由に動画を制作できる環境を提供することぐらいだ」。
そうした想いの背景には、危機感もあるという。毎回最適化していかないと、あっという間に手法やセンスが古くなってしまうからだ。だから、きちんと動画は見てはいるが、極力口は出さない。