エステーとダイハツのCMが心をつかんだ理由 5月後期作品別CM好感度ランキング
虫の中に泥棒が紛れていたり、アップテンポなBGMで虫が駆け足になるバージョンが存在したりといった遊びもありながら、伝えているのはシンプルに“ムシューダを使ってクローゼットの虫を追い出す”ということ。
同社は以前より、自由で奇抜なCMを作っては視聴者を楽しませてきたが、通信機器や環境の劇的な進化により、一般消費者も動画制作者として発信できる時代に変化した。そこでこのCMを「一億総製作者時代へのエステーの“ベタな挑戦状”」として、やろうと思えば誰でも作れる手法と規模を採用した、いわば“平場”での勝負に挑んだ。
その結果、CMに限らずハイクオリティな動画に日々多く触れている消費者からの反響は、前述の通り上々。モニターの感想に書かれているのも、「ベタでアナログで非常におもしろい」「ベタだけどおもしろくてわかりやすいCMだと思った」「シンプルでベタだけれど、かわいくていい演出だと思った」といった狙い通りの反応だ。
CGや特殊効果を使ったり、奇をてらったアイデアで話題を集めるCMも珍しくない中で、素のアイディアと素の制作方法でも、きっちりと心をつかむポイントをおさえてみせた。材料の足し算である「映像」を、メッセージを研ぎ澄ませ、感性という掛け算で「広告」に仕上げる。これが“プロの仕事”だろう。
ハイゼットが示した最適解
ダイハツの軽トラック『ハイゼットトラック』が8位にランクインした。
今回のCMは、マイナーチェンジによって軽トラックで初めて衝突回避支援ブレーキ機能「スマートアシストⅢt」が搭載されたことを伝えるもので、梅沢富美男がキャベツ農家の頑固親父、元マラソン選手の増田明美が酪農家役で出演している。CMは梅沢の息子役の男性視点で展開していく。
息子は父の安全を気遣って軽トラック初の緊急ブレーキについて教えようとするが、梅沢は「俺の運転が危なっかしいっていうのか!」と声を荒らげるばかりで聞く耳を持たない。するとそれを見かねた村一番のしっかり者“明美ちゃん”が牛を引き連れながら「息子の思いやり、受け止めてあげなよ」と助け船を出すというもので、最終的には「ちょうど買い替えようと思ってたしな」と言いながらも息子の助言通り新車に買い替えるストーリーとなっている。
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