25歳女性が「最下層」から抜け出せない理由 カラダを売っても続く貧困の深刻

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「そのときは世の中のことをなにも知らなかったので、別に高校中退してもなんとかなると思っていた。普通にアルバイトだけで生きていけるって。フリーターになってから家が嫌になった。おばあちゃんがいるし、父親もいるし。18歳のとき、1年間くらい家出して東京に行きました。飲食店の厨房でバイトして、バイト先の友達の家とか漫画喫茶とか転々として、普通に生活はできました」

貧困家庭には、子どもの学費や教育費にかけるおカネはない。必死に情報を集めて、おカネを工面して子どもが将来的に不利益を被らないように頑張る親もいるが、かなりの割合で原田さんの父親のように子どもの教育に興味がなく、自分でなんとかしろと自立を迫る。

先日まで生活保護制度や自己破産の法律を知らなかったように、相談者がいなければ、給付型奨学金などの貧困家庭の子どもに向けられた情報を得ることはできない。子どもに興味がない家庭で育ち、引きこもって家族も中学校も断絶した原田さんが、高校中退は自分にとって不利益という現実を知らなかったのはうなずける。

「高校中退はまずい、って薄々気づいたのは20歳超えてから。バイト先で友達ができて初めて知った。そのときはまだ実家があったので戻って、地元のハローワークに行きました。この学歴だと介護しかないって言われて、担当者に『職業訓練で(ホーム)ヘルパー2級を取ったらどうですか?』って勧められた。介護ならできそうと思った。資格を取ってグループホームで2年間なんとか頑張ったけど、完全に精神をおかしくしてしまいました」

介護職不足は国の課題で、2009年から介護人材確保政策は本格的に始動されている。マッチングなどは一切考慮されないまま、失業者は介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)の資格を無償、さらに都道府県によっては研修期間中の月々の生活費を行政が支払って取得という職業訓練に誘導される。資格取得後、介護施設を紹介される。その雇用対策事業は、全国で展開されている。

介護職の賃金は63業種中の圧倒的な最下位だ。女性の貧困を牽引している。高い離職の中で延々と人材不足は続き、向き不向きすら検討されないまま続々と失業者が送り込まれている。当然、末端の現場は荒れ果てる。

「本当に高齢者が嫌い」

21歳、グループホームに就職した。正規雇用で月給13万円に残業などの手当がつき、手取り15万円ほどだった。正社員を違法労働で酷使する事業所は多く、ブラック労働で精神を壊したかと思ったが、理由は違った。

「実際に介護職になってみたら、入居者の対応だったり、コミュニケーションで苦労しました。オムツ交換とか多少のブラック労働はそんなに気にならなくて、私がいちばん嫌だったのは認知症の高齢者に孫に間違えられること。自分の中では消し去っていた祖母を思い出して、嫌で嫌で嫌で、動悸が止まらなくなるほど嫌で、本当に高齢者が嫌いとわかりました」

嫌悪感は何カ月も収まらなかった。ある日、施設長に「孫と間違えられないために、どうすればいいでしょうか?」と相談した。施設長は「自分のおばあちゃんと思えばいい。絆が深まれば、すごくすてきなこと」と返答したという。精神的な負担は限界を超えるようになった。

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