結婚21年、42歳で離婚した女の自由と自立 紙切れ1枚なのにそれに縛られるからつらい

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ファミレスは禁止、電子レンジは料理を楽にするものとして、買うことすら禁止された。気に入らないことがあると頭を小突かれ、平手打ちはしょっちゅうだった。

「夫は家の中にいるお人形が欲しかったんだと思います。家の中だけにいると、世間がわからないから、旦那さんに言われたことが全部正しいと思ってしまうし、ダメな自分が悪いんだと思うんです。一種の洗脳ですよね」

監禁と紙一重の夫婦生活

そんな啓介との生活に息が詰まりそうになった百合子さんは、外でパートでもいいから、働きたいと懇願した。そのたびに「そんなに外に出たいのか! 俺の稼ぎじゃ足りないのか!」と啓介に怒鳴られた。そのため、事実上の軟禁状態だった。

「外に働きに出るのは、すごく嫌がっていました。人間性を奪って、奴隷みたいに家に監禁しておきたかったのかなと思う。そういう事件ってよくありますよね。でも、私たちの夫婦生活も紙一重だったと思うんですよ。それでも、結婚は男の人の言うことを聞くものだと思ってたんです。お前は社会に出て何もわかってないんだからと言われると、そうだよね、私、何も世間のこと、わかってないよね、と」

ある日、出席した子供のPTAの勉強会で、子供のセルフスティーム(自己肯定感)を育てるという講義があった。

「今思うと、自分がいちばん自己肯定感を奪われていたのに……って突っ込みたくなります。でも、子供の教育に関することは、熱心にノートを取ってるのに、DVとか、モラハラで悩んでいて、自己肯定感がズタズタにされていることにすら、気がついてなかったんです。そのときはモラハラという言葉すらなかった」

携帯電話が出始めたころに0円で使える携帯電話をコンビニで手に入れた。うれしくて、ソファーで寝っ転がって夢中になっていると、「いつまでそんなので遊んでるんだ!!」と激高した啓介に、馬乗りになって首をギューッと絞められた。命の危険を感じたが、そのすさまじい力になす術がなかった。

「首を絞められたときに、『やめて――!』って叫んだ気がするけど、あまり記憶がないんです。私が夢中になってることに、焼きもち焼いたんでしょうね。なんでこんなことするんだろうって、薄れゆく記憶の中で感じたのだけ覚えています」

子供ができてから百合子さんは実家の両親に子供を見せたいと思った。

しかし、実家に子供を連れて帰ると、「何を吹き込まれてきたんだ?」と啓介は露骨に嫌悪感を示すのだ。啓介が不機嫌になるのが怖くて、実家にもなかなか帰れない日々が続いた。そのため、ますます百合子さんは孤立感を深めていった。

体を求められるのは年に、4、5回。それもつねに啓介の自分勝手な行為だった。思い付きでいきなり襲ってきて、ムードも何もなく一方的に果てて終わり。

「我慢するものだと思っていた。我慢していたら、夜のお勤めが終わっているという感じです。それでも、私も女だから、たまに、抱きつきたくなったりキスしたり、スキンシップしたくなったりする。それで、ベタベタすると、『うざいわ』と言われて突き放されるんです」

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