定年後に「働いて稼げる人」は何が違うのか 定年後人材に企業が期待するのは「3Y」

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──プライドが邪魔して再就職できないケースは、やはり多いのですか?

非常に多いです。現実の厳しさを知り、少しずつ希望月収を下げていく方がいますが、それは絶対にお勧めしません。その間にどんどんブランクが空いてしまう。ブランクが長くなるほど企業は敬遠します。60歳でいったん一休み、なんて通用しません。ブランクはデメリットでしかない。定年後はどんな仕事であろうと積極的に拾っていく気持ちで臨んでほしい。

高齢者の再雇用は大抵週3とか週2勤務ですから、空いた時間は他社でも仕事すればいい。5万円の仕事を3つ4つ掛け持ちするフリーランスに似たスタイルです。自分は何の強みもないと言わないで、自分ができることを大事にする。趣味や特技を生かすのもいい。実際に話し好きな元証券マンがタクシー運転手になったり、もともと手先が器用だった技術部長がマンションの管理人になって、とても重宝がられたり。自分が楽しく働けて周りにも喜んでもらえるような成功された方も大勢います。

「安い」「辞めない」「休まない」

──自縛から解かれることですね。

定年前後の「やってはいけない」 (青春新書インテリジェンス)
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定年後人材に企業が期待するのは「安い」「辞めない」「休まない」の3Yです。企業にとってみればこういう人材はすごく貴重。高齢者はもう娯楽におカネを使うことも少ないから、給料が安くてもやっていけるものです。働いていれば自分で健康管理しますし、これといった用事も少ないので、そんなに休まなくても大丈夫。高齢者の募集は少ないから、一度いただいた仕事は大事にしたいと思うようになる。

自分の時間を有効に使ってみんなを喜ばせられれば、そちらのほうがうれしくなる。私のやっている人材紹介業なんてどんな年寄りでもできるし、事務とか単純な受付とかクレーム対応とか、シニアがやれる仕事はたくさんある。公務員など60歳から採用したほうがいいとさえ思います。

──高齢者雇用を促進するシステム作りも必要ですね。

極端な話、60歳以上は最低賃金とか労働時間とかいろんな規制を取り払っていいと思う。高齢者はセルフコントロールが利くから過労なんかに絶対ならない。契約社員でも派遣でも、時給でも日給でも、複数の職場で働いても、高齢者は自由にやっていいですよと。そうすれば企業も高齢者を雇おうかと思ってくれる。医療費も高齢者は10割負担にしていい。そうすれば病院へ行かずに済むよう一生懸命に健康管理するでしょ。逆に最前線に立つ若者は1割負担にして、もっと病院に行ってもらったほうがいいですよ。

中村 陽子 東洋経済 記者

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なかむら ようこ / Yoko Nakamura

『週刊東洋経済』編集部記者

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