仲人をしてきた経験則からいえば、男と女は相性だ。いったんは落ち込んで後ろを向くことがあったとしても、その気持ちをうまくリセットして、また新しい出会いに挑んでいけば、自分に合う相手に出会うことができるのだ。
3人目の見合い相手は、私の会員である森川裕子(52歳、仮名)だった。
普通ならば52歳の男性は、これほどトントン拍子にお見合いが組めるものではない。なぜ太一は次から次へと見合いが組めたかといえば、相手の年齢ターゲットを同年代にしていたからだ。
太一は、面談のときにこんなことを言っていた。
「52歳という年齢を考えたら、もう子どもを持とうとは思わない。小学校のときに定年だし、成人まで育てていくのは経済的にも体力的にも厳しい。ただ、このまま1人で年をとっていくのは寂しいから、一緒に楽しくすごせるパートナーが欲しいんです」
お見合い男性はいくつになっても子どもを望むが…
「お見合いをしたい」という男性は、50代、60代、時には70代になっても、子どもを望んでいる人が多い。そうなると、相手の女性の年齢が限定されてしまう。どんなに経済力があっても、50代、60代、70代の男性と結婚したがる30代の女性は、少数派だ。
それを受けて女性側は、年を重ねるほどに年齢の近い男性からのお申し込みがなくなっていく。40代女性だと50代60代から、50代女性だと60代70代からのお申し込みが多くなる。
裕子が入会してきたのは50歳のときで、そんな状況の中、苦しい婚活を2年半続けてきた。60代の男性と婚約直前までいったこともあったのだが、婚約前に、プロフィールには記載されていない莫大な借金があることがわかった。それは60代の男性がどう考えても返せる金額ではないのに、彼はあまりにもお気楽に考えていた。また、ギリギリになるまでそのことを告げなかったことにも不信感を抱き、結局“交際終了”となった。
見合いをした太一と裕子は、お互いを気に入り、交際に入った。そこからは、毎日メールのやり取りをし、週に1回はデートをしていたようだ。
3回目のデートを終えたとき、2人の様子をヒヤリングしようとまずは裕子に電話を入れた。彼女は、弾んだ声で言った。
「太一さん、すごく素敵な人ですね。男性って、物ごとを斜めから見るのをちょっと“かっこいい”と思っている人がいるでしょう? 彼にはそういうところがまったくなくて、すごく素直でまっすぐ。あと、食事に行っても、お店の人に対する態度が丁寧で謙虚なんですね。“ああ、育ちがいいって、こういう人のことをいうんだな”って思ったんです。私としては、このままお付き合いを大切にしたいです」
これを聞いて安心し、太一に彼女の言葉を伝えた。
「いやいや、僕は、そんなりっぱな人間じゃないですよ。でも、裕子さんがそう思ってくれていたなんて、うれしいですね。僕も、この関係を大切にして、結婚に向かえればいいと思っています」
婚活に苦しんでいる人たちは、今一度、自分の負の気持ちをリセットしてみるといい。“誠実”“謙虚”“相手への思いやり”、当たり前すぎて忘れがちだが、これが婚活を成功させる3つのキーワードなのだ。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら