中国エリートに聞く、中国経済崩壊論の真偽

中国経済は本当に危機なのか?

共産党自ら変わるしかない

ムーギー:中国の今の政治の話を聞きたいが、今、共産党の問題点は何だと思うか。

王さん:政府の腐敗がひどいと言われ続けているが、政権が変わるたびに「腐敗を一掃する」と言っている。これを当面、信じるナイーブな国民が多い。実際は何も変わらないだろう。

共産党幹部の子息は、皆、ハーバードやスタンフォードにもろもろのコネと資金力で子供を送っている。また、毎年すさまじい人数の官僚が国のカネを持ち逃げして海外に逃亡している。そして多くの中国人が海外の国籍を取得して、いつでも資産を海外に移して、国外に逃げられるよう準備をしている。

ムーギー:実は上海の空港からこちらに来るまでの間、タクシーの運転手さんも共産党の腐敗について怒っていた。

王さん:中国はそもそも三権分立というものがない。共産党一党ですべて決まるところに、司法も当然、ずぶずぶの関係にある。三権分立のアメリカとかでも政治は腐敗しているのに、それがない中国の政治状況がどのようなものか、想像していただけるだろう。

ムーギー:私のインド人の友人(ムンバイの欧米投資銀行勤務)は、人口が10億レベルになると民主主義は機能せず、ストライキばかりで何も進展しないので、中国のような一党支配でないと安定的に成長できない、中国人は賢い、と言っていた。彼はインドも完全な一党独裁ではなくても、民主主義と独裁の中間くらいの、部分的な独裁に変えるべきだと私に言っている。

王さん:確かに大勢の安定と成長と民主主義・メディアの自由はトレードオフの関係にあり、バランス感覚あるさじ加減が難しい。ただ共産党は自ら改革を推し進めないと、内側から崩壊するだろう。今までは経済が急速に発展してきたから、問題が多くても生活水準が毎年、目に見えて向上するので、人々は政治に文句を言わなかった。

また、私のような世代は子供のときに天安門事件を見ているので、政治問題に深入りしたり議論することを避ける傾向にあった。しかし経済成長率が低下してきて庶民の生活にしわ寄せがくるようになると、今まで目が向けられなかった問題に不満が噴出するだろう。

ムーギー:最近の政治腐敗の問題というと、日本では薄煕来事件がよく取りざたされたが、あの問題はどう思うか。彼はやはり、共産党指導部との政治闘争の犠牲者か?

王さん:どちらがいい、悪いという問題は白黒ふたつに分かれる問題ではなく、誰にもグレーな部分はある。薄煕来は政治闘争の犠牲者という側面もあるが、彼は彼で問題も多かった。

ムーギー:彼が市長を務めた都市の市民からは、評判が高かったと聞いているが……。

王さん:庶民からの評価は高いが、企業家からの評価は低い。彼は後付け的な法律で、以前は許されていた企業の慣行にメスを入れて多くを監獄に送ったが、これは単に前任者の支持者であるこれら企業家の力をそぐための政治抗争の結果だ。

結果的に企業家が都市から多く出て行ってしまった。ただ権力を乱用する金持ちに強く当たったので、庶民からは人気があった。彼は重慶出身ではないと知っているか? 彼の前任者の影響力を排するために、前任者の支持者の力を一掃したのだ。

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