原油価格は、思ったほど大きく下がらない サウジとロシアは減産緩和に動くのか?

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現在のところ、再選されたマドゥロ大統領は、経済破綻への処方箋を示せていない。ベネズエラ経済は原油価格の低迷と財政収支を顧みないばらまき政策で疲弊した。マドゥロ氏就任から5年間で経済規模は45%縮小し、ハイパーインフレと1500億ドルの対外債務を抱えている。

しかし、マドゥロ氏は6月4日にデノミを実施し、仮想通貨「ペトロ」で外貨を獲得すると主張するなど、具体性に乏しい経済革命を公約として挙げる。さらに500万戸の住宅無償提供などを約束している。しかし、これらの政策は常識からかけ離れており、経済立て直しのめどは全く立たない。このような情勢からも、同国の産油量の減少傾向は今後も続くとみるのが妥当であろう。

イラン再進出に積極的な仏トタル社も開発停止へ

一方、イランも同様に厳しい状況に追い込まれる可能性がある。マイク・ポンペオ米国務長官は、中東で影響力を拡大するイランの脅威に対抗するための包括的な戦略を発表する方針だ。トランプ大統領が離脱を決めたイラン核合意に代わる新しい枠組みづくりに向けて、欧州諸国などに協力を訴えるとされる。

ポンペオ氏は新戦略策定に向けた「外交ロードマップ」を提示し、核開発だけでなく、ミサイル技術拡散、テロ支援、シリアやイエメン内戦への介入などにも対処する枠組みにする狙いがある。

トランプ大統領は「現在の核合意の腐った仕組みでは、イランの核兵器開発を阻止することはできない」と主張しており、弾道ミサイルなどの脅威にも対処していないと批判している。欧州諸国は核合意維持を目指しているが、フランスの石油・ガス大手トタル社は、「米国が同社に対イラン制裁の適用免除を認めない限り、イランでの天然ガス開発を停止せざるを得ない」と表明するなど、今後のイランでのエネルギー生産が停滞する可能性が指摘できる。

トタルは2016年11月に、イランの主力天然ガス田「サウスパース」の開発でイラン国営石油会社(NIOC)と基本合意し、2017年7月までに正式契約するなど、核合意に伴う制裁解除後にイラン再進出を決めた代表的な企業だった。しかし、このような見方が出ていることを考慮すれば、今後は新規投資が停滞し、これがエネルギー生産・供給の停滞につながる可能性は決して低くない。

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