原油「1バレル=100ドル時代」再来の「予感」 2020年に向けヘッジファンドのシナリオ通り
原油相場が堅調に推移している。これまで本欄では「代表的なWTI原油先物価格は1バレル=70ドルを超えて年内に75ドルから80ドルまで上昇する」との見方を示してきたが、現状は67ドル台で推移、筆者のほぼ想定通りだ。
なぜ原油は「投機筋の思惑」通り上昇しているのか
この値動きは、まさに「投機筋の思惑通り」でもある。米国のドナルド・トランプ政権の政策の不透明感が市場を不安定にさせる一方、国際社会ではイランやシリア、さらにロシアなど、中東や原油を連想させる材料が多い。投機筋はこうした世界情勢に乗じる形で原油に「ベット」し、相場を押し上げてきたわけだが、その勢いは、55ドルを超えたあたりから増している。
実は、この55ドル前後の水準は、2016年末から2017年初めのトランプ政権誕生時の水準でもある。株価はその時期を境に大きく上昇し始めたのだが、明らかに出遅れていたのが原油である。2016年末には、石油輸出国機構(OPEC)が、ロシアなどの非加盟国も巻き込んで、「歴史的な協調減産合意」を締結した。
しかし、市場はこの合意はすぐに破棄されるとみて、原油相場の回復に懐疑的であった。マーケットは減産合意に参加した産油国の減産への取り組みが想定以上だったことを「無視」したことで、原油相場も40ドル台での推移が続いた。しかし、2017年11月に50ドルを超え、さらに55ドルを超えたところから相場の地合いが明らかに変わった。投機筋の買いポジションも大きく膨らみ始めたのである。
実際、ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)における投機筋の先物ポジションをみると、2017年11月までは50万枚が上限だったネット買い越しポジションが、55ドルを超えたあたりから急激に増えた。そして、今年2月には73万9097枚にまで拡大し、過去最大に達している。
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