原油価格は、思ったほど大きく下がらない サウジとロシアは減産緩和に動くのか?
原油相場が頭打ち状態から調整に入りつつある。世界の代表的な指標であるWTI原油先物価格は5月22日に1バレル=72.83ドルまで上昇したが、その後は70ドルを割り込み、下落が鮮明になっている。その背景には、OPEC(石油輸出国機構)加盟国と非加盟国が2017年から取り組んでいる減産を見直すとの思惑がある。
6月22日のOPEC総会前に重要な決定はあるのか?
実際はどうなのか。6月22日にウィーンで開く総会に先立つ5月24日、サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)のエネルギー相はOPEC非加盟国のロシアのエネルギー相とロシアのサンクトペテルブルクで会談、石油市場について協議した。
これはベネズエラの経済危機や同国の大統領選後に米国が追加制裁に動く可能性が指摘されていたこともあり、今後の対応を協議したものだ。また、イラン核合意からの米国の離脱決定を受け、将来的に原油の供給量が細るとの観測が広がっていたことも協議の背景にある。協議の結果、OPECは6月の総会で、経済危機に陥っているベネズエラとイランの減産分を補うため、生産量引き上げを決定する可能性を示唆し始めている。
ロシアのアレクサンドル・ノヴァクエネルギー相は、「OPECと非加盟国が6月に石油市場の需給が均衡していると見なせば、減産をソフトに緩める可能性がある」との見方を示している。また、ノヴァク氏はロシアとサウジアラビアが減産合意の先行きについて、共通の見解を有していると指摘している。
ただし、現段階で減産合意は維持されるとしている。最終的な判断はOPEC総会に委ねることになりそうだが、減産の縮小幅だけでなく、縮小そのものについても議論することになるだろう。というのも、減産縮小の可能性が報じられただけで、原油相場は5ドル以上も下げているからである。この動きを見れば、減産に参加している産油国が、減産縮小によるさらなる原油相場の下落を懸念し、縮小を見送る可能性も十分にあるだろう。
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