原油価格は、思ったほど大きく下がらない

サウジとロシアは減産緩和に動くのか?

しかし、減産を見直したいのは、ほかでもないロシアである。というのも、米国による鉄鋼・アルミ関税や経済制裁の影響で株価や通貨ルーブルが下落しており、このままだと将来不安が高まるリスクがある。できるだけ外貨収入を増やしておきたいところだが、そのためには産油量を増やし、供給を増やして現金を稼ぐのがもっとも手っ取り早い。実際、ロシアの石油大手ルクオイルは、「減産合意は維持されるべきだが、変更する必要がある」との見方を示しているが、この発言は減産の見直しを行うことで、産油量と収入の増加を目論んでいる証左だ。

高まる消費国の不満、「ベネズエラリスク」は?

だが、消費国からは原油高に対する不満が高まってきた。これに対しサウジアラビアは原油価格が一時2014年以来の1バレル=80ドル台に乗せたことを受けて、OPEC加盟国・非加盟国と協議を進めていると発言している。サウジのカリド・アル・ファリハ・エネルギー産業鉱物資源相は、UAE、米国、ロシア、主要消費国、韓国のエネルギー相らに「世界市場の不安を緩和するための世界的な協調行動」を呼び掛けたとしている。

また、国際エネルギー機関(IEA)事務局長に対しても「原油市場と世界経済の安定に取り組む決意」を改めて伝えたもようだ。さらに、原油高への懸念を示したインドに対しても、「世界の経済成長を支えることがサウジの主要な目標の一つだ」と言明したとされる。このように、主要産油国は、原油相場の急上昇への弊害にも目を配りながら、それでもなお原油相場を高止まりさせるための方策を維持するといった、きわめて難しい対応を迫られている。

一方、ベネズエラの産油量については、2年間で3分の1に落ち込み、日量約140万バレルに減少しているもようである。同国の経済危機は深まり、国営石油会社PDVSAは債務支払いと資金繰りに窮している。そんな中、ベネズエラ大統領選挙でのニコラス・マドゥロ大統領の再選と同国に対する制裁発動の可能性を受けて、産油量がさらに減少するとの懸念が高まっている。

実際、ドナルド・トランプ米大統領は、ベネズエラによる国有資産の売却能力を制限するなどの大統領令に署名した。ベネズエラの資金調達や物流、電力供給が制限されれば、同国の石油生産が一段と低迷することになる。米国はベネズエラに対する石油関連の制裁を前向きに検討している。

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