首都圏「大地震で大津波が来る駅」ランキング 神奈川県の駅がズラリ、東京と千葉は?

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鉄道会社の対応として、江ノ電の例を見ておこう。

大地震が発生し、運転司令所に設置してある緊急地震速報に推定震度4以上を受信した場合、司令所から列車無線で運転士に緊急停止の指示が出る。運転士はトンネルの中や橋梁を避けて駅間であっても電車を停止させる。

津波警報や大津波警報が出た場合は、一刻を争う。乗務員は車内アナウンスを行い、電車の扉をすべて開け、同時に各車両ひとつの扉にはしごをかけて乗客を線路に降ろす。乗務員は必要に応じて降りる介助を行う。

江ノ電の架線柱に設置してある津波避難場所の案内板(筆者撮影)

駅間に停まった場合、ここから線路伝いに歩くことになるが、江ノ電では線路沿いの架線柱に、津波一時避難場所への方向を矢印で示す案内板が掲げられているので、そのとおりに進んでいく。避難場所へと向かう道の踏切手前の架線柱に同様の案内板があるので、その矢印どおりに道路に出て避難場所へと向かう。

乗務員の目が届きやすい江ノ電

こうした一連の行動は、江ノ電ならではのものもある。

単線のため隣に線路がなく、電車が走ってくることがない。そのためすぐに線路に降りられる。4両編成と短いので、乗っている車両か隣の車両には乗務員がいて、乗客が降車の介助を受けやすい。15両編成でラッシュ時乗客3000人以上、乗務員3人程度といったJR東海道本線などとは異なるわけである。

またJRの幹線では、線路に立ち入られないように線路沿いにフェンスが続いていて、線路外に出られる扉のある地点まで遠い場合もある。江ノ電は駅間が短く踏切も多いので、線路外にすぐ出られる。

長谷駅で5~8mとなるような明応型巨大地震の場合、津波の第一波まで地震発生から約50分と想定されているが、それよりやや規模が小さい南関東型地震(長谷駅で津波浸水高0.8~1.2m程度)では十数分で第一波が来ると想定されている。

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