首都圏「大地震で大津波が来る駅」ランキング 神奈川県の駅がズラリ、東京と千葉は?

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「駅から津波避難所到着まで10分をめどに、対策や訓練を行っています。社員による降車訓練では、車両ドアを開け、それに合わせてはしごを設置し全員が降りるまで2~3分でした。実際にお客様が多数乗られている時は3~4分かかるでしょう。避難所までの実踏訓練も年3回行い、そのほか乗務員単体、駅員単体でも個別の訓練を行っています。駅では災害時ハンドブックの配布や避難所への地図も掲げてあり、駅員無配置駅は、有人駅より放送で避難の案内を行います」(江ノ電鉄道部運転車両課)

筆者はこれまで主に首都圏の鉄道会社に対して、災害時の対応などを取材してきたが、江ノ電は、海辺を走るだけあり、津波に対する対策と訓練は他の鉄道会社より熱心に行われている。社員の意識も高く感じる。

海岸近くの駅では避難所確認を

津波避難場所のビルなどを示す看板(片瀬江ノ島駅付近)。海岸沿いの駅に行く場合は、万が一に備えて津波の際の避難場所を確認する習性を身につけよう(筆者撮影)

だが、まだ課題は残る。実際の満員の列車で高齢者も多く乗車している場合は、降車にもっと時間がかかるかもしれない。鎌倉市や藤沢市と連携して、市民などによる降車、避難訓練も必要だろう。また近年多い台湾、中国、韓国、欧米など、外国人への多言語による案内板、アナウンスなど自治体とともに検討を望みたい。

今回はJRの対応まで触れることはできなかったが、海岸近くの駅に行く時は、津波避難場所を確認する習性をつけておきたい。

<ランキング表補足>
各都県ではこれまで数回にわたり津波浸水予測図(ハザードマップ)を改訂してきた。神奈川県では平成24年3月に「津波浸水予測図」を発表した。同県ではさらに平成27年2月に「津波高さ」と「浸水域」が最大となる「津波浸水想定図」を公表している。これは発生頻度が2000~3000年以上とされる相模トラフ沿い最大クラスの地震など最新の科学的知見を加味したもので、平成24年の予測図より多くの場所でやや高い津波を想定している。
ただし、鎌倉市の「かまくら防災読本」はじめ一般に流布している津波ハザードマップは平成24年版であること、鎌倉市HPにもそれが掲載されていることなどにより、ランキング表は平成24年のものを基に作成した。
内田 宗治 フリーライター、地形散歩ライター

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うちだ むねはる / Muneharu Uchida

主な著書に、『地形と歴史で読み解く 鉄道と街道の深い関係 東京周辺』(実業之日本社)、『外国人が見た日本 「誤解」と「再発見」の観光150年史』(中公新書)、『関東大震災と鉄道』(新潮社)など多数。外国人の日本旅行、地震・津波・洪水と鉄道防災のジャンルでも活動中。

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