「2度目の南北会談」でみせた金委員長の本気 非核化の攻防はギリギリまで繰り広げられる

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非核化といっても、米国が主張している非核化は、北朝鮮の非核化だ。

ところが、北朝鮮が言う非核化とは「自国に加えて朝鮮半島の非核化、さらには日本や中国、ロシア、米国も非核化を実現すべきというのが究極の目標だ」(北朝鮮高官)。この認識からすでに、米朝間でズレがある。また、北朝鮮からは「CVID」(完全で、検証可能で、不可逆的な非核化)という言葉は聞かれない。

一方で米国からはCVIDはもちろん、ボルトン国家安全保障問題担当補佐官のような対北朝鮮強硬派からは、「先に核開発放棄・非核化、後に制裁緩和」と述べたり、核兵器だけでなく生物兵器なども対象にすべきとの発言が相次ぐ。非核化は目標とするが、米国が望む非核化の内容との認識の差に、北朝鮮が戸惑っているのも事実だ。

米朝首脳会談前の難問は「非核化」の定義

非核化について、北朝鮮ができることと米国が望むことを、どこまで一致させることができるか。これが米朝首脳会談前の難問中の難問だ。6月12日までの残り約2週間で、この点で一定の折り合いがつかないと、会談開催も危うくなる可能性がある。

「今こそ始まりだが、この始まりは過去にあったもう1つの始まりではなく、完全に新しい始まりになるだろう」。文大統領は27日の記者会見でこう述べた。トップ同士が相次いで会談を行うことはこれまでになかった。また、南北首脳会談は「随時、必要なときに開催」することで合意し、今秋予定されている南北会談に加え、年内に数回開催されそうだ。

これを踏まえて、米国と北朝鮮との関係とそれを見守る中国・韓国の考えと行動も明らかに変わってきている。米朝首脳会談まで約2週間。現在、存在感がまったくないのは日本だけだ。

福田 恵介 東洋経済 解説部コラムニスト

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ふくだ けいすけ / Keisuke Fukuda

1968年長崎県生まれ。神戸市外国語大学外国語学部ロシア学科卒。毎日新聞記者を経て、1992年東洋経済新報社入社。1999年から1年間、韓国・延世大学留学。著書に『図解 金正日と北朝鮮問題』(東洋経済新報社)、訳書に『金正恩の「決断」を読み解く』(彩流社)、『朝鮮半島のいちばん長い日』『サムスン電子』『サムスンCEO』『李健煕(イ・ゴンヒ)―サムスンの孤独な帝王』『アン・チョルス 経営の原則』(すべて、東洋経済新報社)など。

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