第一生命で一般職女性が部長へと昇進、保険業界初!

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 保守的と言われる金融業界でも、女性が部長に登用される例もちらほら見られるようになった。ただ、そこでの主役は総合職入社組。今年4月、一般職女性から部長(経営管理職)に就任した渡邉寿美恵さんは、保険業界でも初めてのケースだ。

「時代と私の仕事への気持ちの変化が適合した」と渡邉さんが話すとおり、1980年の入社から2008年に部長になるまで、28年間の渡邉さんの歩みは、第一生命の女性活躍推進活動の歩みとともにある。

事務作業中心だった一般職を、より積極的に活用しようと始まった、一般職の業務拡大の動き。まず90年に制度化されたのが、転勤の可能性がある総合職への職掌転換をせずに一般職で昇進し、指導者として役職に就ける「一般職役付制度」だった。

続いて91年には「一般職の法人渉外業務への任用」制度ができる。金融機関で、事務を行う一般職が企業向け保険営業を行うという形での業務拡大は珍しい。「私にも営業の仕事はできる」という思いがずっと心の中にあった渡邉さんは、92年、「躊躇することなく」一般職のまま営業職に転身した。92年に「業務主任制度」ができ、93年に業務主任に。現在はFP営業部部長として、営業職員とともに中小企業を回っている。

事務業務は席に座っていれば仕事ができる。営業職になって社外に出てお客様と接し、どのように対応すればいいかを考える。「そこで初めて総合職の人と一般職の私が同じ土俵の上で勝負していると感じることができた」と渡邉さん。

とはいえ、制度を創設するだけでは女性活用は進まない。一般職にとっていきなり「役付き」を目指すのはハードルが高い。そこで総合職と一般職の経験の差を埋める研修・育成にも力が入れられた。06年に「一般職リーダー養成塾」、07年に「女性管理職塾」と「キャリアアップ講座」が新設され、管理職に必要なスキル、知識、考え方を身につけられるようにした。「仕事も家庭も大事にしたい女性にとり一般職がキャリアアップできる制度は、長く働くうえで励みになる」と渡邉さんは言う。

総合職の上司では一般職女性の仕事ぶり、能力評価に目が行き届かない点もあった。「私だから気づくことがある」と渡邉さん。女性の活躍の場がこれでまた一つ拓かれた。

(生保・損保特集編集部)

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