任天堂も動いた!変わるゲームの「特許事情」 「パクり合い」に寛容な時代はもう終わった

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裁判は現在も続いており、東京地裁の判決が下されるまでには1~2年かかる見込みだ。訴訟の行方について田嶋弁理士は、「単純に数の論理として、6件ある特許権のどれかでは侵害が認められるのではないか。ただ原告(任天堂)はもとより、被告(コロプラ)も知財に力を入れている会社。やみくもに闘っているとは考えにくく、現段階で個別の特許権について有利・不利について安易にコメントすることはできない」と話す。

『白猫』の特許権侵害が認められた場合、コロプラは損害の度合いに応じて賠償金を支払うことになる。任天堂側は『白猫』の配信差し止めも要求しているが、実際にサービスを終了することは考えにくい。特許権を避ける形でゲーム内容を修正すればサービスを継続できるからだ。とはいえ、裁判の結果次第では大幅な機能修正を余儀なくされ、ゲームの質が悪化する可能性はある。

「パクって当たり前」の時代ではない

今回の件がどのような結末を迎えるにせよ、今後ゲーム各社はより慎重に開発を行う必要がありそうだ。ある業界関係者は、「昔の開発現場では、『ゲーム開発はパクって当たり前。お互いのよいところをパクり合うことでさらに面白いゲームが生まれ、産業全体が発展する』という風潮があったが、今はもうそんな時代ではない」と話す。

ただ、すでにゲーム関連の特許は膨大な数に上り、今後ますます増えていく。それらをすべて避けようとすれば、ゲーム開発の幅は狭くなる。田嶋弁理士は「他社の特許を回避するだけでなく、それらを利用しやすい環境を構築することも大切。すべての特許を対象にするのは難しいが、相互に特許を許諾し合う『クロスライセンス』や、複数社が特許を持ち寄って共同体を作り、特許許諾を一括化する『パテントプール』といった仕組みの活用は有効な手段だ」と指摘する。

特許権は姿形こそないが企業が持つ貴重な財産で、それを尊重する動きは望ましいこと。とはいえそれはあくまで前提条件で、ゲーム会社に本来求められているのは面白いゲームを生み出すことだ。これらを両立できる体制を作り上げることが、ゲーム業界全体の重要なテーマになりそうだ。

渡辺 拓未 東洋経済 記者

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わたなべ たくみ / Takumi Watanabe

1991年生まれ、2010年京都大学経済学部入学。2014年に東洋経済新報社へ入社。2016年4月から証券部で投資雑誌『四季報プロ500』の編集に。精密機械・電子部品担当を経て、現在はゲーム業界を担当。

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