コナンも驚く日本の「私立探偵」の地味な実態 犯罪の真相解明などはほぼ行っていない

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熟練した私立探偵たちは、誰かになりすまして情報を収集することもあった。たとえば、市役所の事務員に、情報収集の標的としている調査対象者の配偶者として接するといったやり方である。

「私の妻に市役所から誤った請求書が送られてきました。そちらの記録が正しくないのだと思います。確認していただけますか……」といった話をするのだ。だまされた市役所職員は、うっかりと個人情報を明かしてしまう……これがまさに逗子市のストーカー事件で起きたことなのである。

複数の探偵事務所を取り締まった

この事件には1人の私立探偵がかかわっていた。あるストーカーが自身の元恋人の住所を見つけ出そうとしてこの私立探偵を雇ったのだった。私立探偵は、彼女の現在の夫と称して、その若い女性の住所を市役所職員から手に入れた。翌日、ストーカーは彼女をその住所に訪ね、殺し、そして自殺した。

実は、この犯人は事件の数日前、元恋人の住所を求めて小山に依頼を持ちかけていた。小山は違和感を覚え、その依頼を断っていた。数日後、別の私立探偵の手助けにより、ストーカーは女性の居場所を見つけたのである。

事件後、警察は、ストーカーがどのようにして女性の住所を知るに至ったかを割り出した。警察は複数の私立探偵事務所を取り締まった。その対象には、小山が運営する「Japan PI」も含まれていた。警察は、事件に関与した私立探偵を、市役所の公務を妨げた容疑により、偽計業務妨害罪で逮捕。さらに、40人以上の情報提供者を起訴した。彼らは、私立探偵たちの下請けとして調査対象者の住所を収集していたのだった。

「2013年以前は情報を入手するのはかなり容易でした」と、小山は振り返る。しかし、逗子の事件の後、私立探偵は政府や企業のデータベースに手軽にアクセスすることができなくなった。「今となってはほとんどの情報源がなくなってしまいました。素手で戦わざるをえなくなってしまったのです」

私立探偵が、劇的な犯罪事件の調査を行うことが難しいという現実を踏まえて、小山はバイリンガルであることを生かし、外国の企業や個人向けに、住所確認やデューデリジェンス、調査を行うといった平凡な業務に勤しんでいる。

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