コナンも驚く日本の「私立探偵」の地味な実態 犯罪の真相解明などはほぼ行っていない

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小山によれば、警察は自らの職務の邪魔になる私立探偵を疎ましく思っているという。警察は私立探偵の助力などなくても社会秩序をしっかりと保てるのだ、と。その理由の1つには、日本人は通常、他人に迷惑をかけることを恐れて法に従うということがある。また、日本の警察による犯罪の取り締まりが迅速であることも、もう1つの理由に挙げられる。めったに起こらない殺人や銃犯罪では、摘発は特に素早い。

日本では銃器による死亡者数は毎年非常に少ないが、私立探偵が銃犯罪に巻き込まれようものなら警察は「私立探偵を徹底的に締め上げてきます。私たちがどんな弁解をしようとも」と、小山。「だから、私たち私立探偵はひたすら静かに、世間からの注目を集めないようにしていなければならないのです」。

私立探偵が問題となった逗子ストーカー事件

1980年代の米国のテレビ・シリーズ「私立探偵マグナム」で犯罪や殺人事件を解決していたトム・セレックの格好いいイメージは、日本の私立探偵の現実には当てはまらない。日本では、被告の容疑を晴らす証拠を集めるべく、私立探偵が刑事被告人の弁護士たちに雇われるといったことはまずないからだ。裁判の判決は決まっているというのに、そんな煩わしいことをする必要があるだろうか? 99%の刑事告発には結局有罪判決が下されるのだ。

日本では、探偵業は2007年までいっさい規制されていなかった。誰でも私立探偵を自称することができたこともあり、しばしば暴力団組員が探偵業を隠れみのにして資金洗浄や違法薬物の販売を行っていたこともあった。結果、探偵業は評判の悪い業種となった。政府はその改善を企図して2007年から探偵業を営む場合は、各都道府県の公安委員会に届出をしないといけないことになっている。

だが、警察がこの業界の浄化に乗り出したのは、2012年に世間の注目を集めたストーカー事件以降である。神奈川県逗子市の女性が死に至ったこの事件には1人の私立探偵がかかわっていたのだ。

この事件まで、私立探偵たちは倫理的に問題のある手法で調査対象者の住所を入手していたのである。当時、個人情報の主な供給源は携帯電話番号だった。たとえば不倫調査では、依頼者は、配偶者の携帯電話への疑わしい着信番号をまず確認した後、それが浮気相手からなのかもしれないと、私立探偵にその番号の主の割り出しを要望するといったことがある。

私立探偵の妻や恋人が主要な携帯電話会社に勤務していた場合、通話記録の自由な閲覧は可能だった。こうした「内通者たち」は集合的に私立探偵業界全体に素早く安価な位置特定サービスを提供していたのだ。

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