人生100年、ニッポンは「ジレンマ大国」になる 日本の若者が「ライフ・シフト」著者を直撃

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「私は将棋を生き甲斐だと、そう思える仕事をさせていただいているので、単純に人生100年あったらうれしいなと思う。一方で、こういう考え方を仕事に対して持っている同世代が少ないように感じるんです。どちらかというと将来に対する不安があったり、仕事に対して責任感や夢を持てない。そこがもどかしく感じます」

要するに変わらない社会構造、変わらない人々の意識がジレンマになっているというわけだ。グラットン氏は、100年ライフにはポジティブな面もネガティブな面も両方あると認めた上で、こんな話を披露してくれた。

「今年、45カ国から集まってきた私の教え子たちと話をしたんです。そしてポジティブな日本人とネガティブな日本人、この2つのキャラクターを伝えました。彼らは、日本の若者には勇気が必要だと言っていました。皆さんは、自分たちがこの100年という信じられない時間を生きるための生き方、働き方を考えなければなりません。たしかに勇気が必要だと私も思います」

そして著書『ライフ・シフト』の一節を紹介した。

“世界でいち早く長寿化が進んでいる日本は、ほかの国々のお手本になれる。多くの人が100年以上生きる社会をうまく機能させるにはどうすべきかを、世界に教えられる立場になるのだ”

夫婦のあり方を見直そう~良きパートナーとは?

また、100年人生で多くの人が思い浮かべるのが健康の問題。医学部出身のライターである朽木さんは、自身の取材経験をこう語る。

「病気になった場合はどうすればいいのか。たとえばガンになったら。こんな大きな病気が100年人生の中で何度も起きたらちょっと耐えられない、という声を聞くんです」

たしかに入院や手術といった闘病生活は精神的にも金銭的にもきつい。どう受け止めればいいのだろうか。

グラットン氏はここで「家族のあり方」を見直す必要があると語る。

「日本が直面している課題の1つは、夫婦の関係です。多くの場合、メインでおカネを稼ぐのは夫で、女性は退職が早かったり、家計の助けでパートをしたりといった具合です。そうすると、男性がずっと働き続けなければなりません。これは男性にとってもある意味、負担ではないかと思います。

せっかく結婚しているのですから、2人で助け合うのがあるべき姿ではないでしょうか。それは心理的にも金銭的にも助け合うということです。たった1人、どちらかがつねに家族を養っていかなければいけないというのは、なかなか難しい。2人で順番にそれを交代していくことができたらいいのではないか。これが1つ目の提言です」

次ページ2つ目の提言として…
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