人生100年、ニッポンは「ジレンマ大国」になる 日本の若者が「ライフ・シフト」著者を直撃

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グラットン氏は「自分の価値を知るというのは、おカネの話だけではない」とキッパリ。たとえばイギリスでも多くの企業に男女の賃金差があり、問題視されているという。

「これはフェアではないし、正しいことではないと思います。大切なのは自分にとっても他の人にとってもフェアであること。こう主張するのは、おカネに汚いという話ではありません」

そして「他人と違ったっていいじゃないですか」とも。

「あなたの友人は、あなたが人と違うことに誇りを持ってくれると思います。そうでない人は、友達とは言えないのではないでしょうか」

育休中は「おとなしく」していなければならない?

これからの働き方について悩みを抱えているのは堤さんだけではない。副業OKのマーケティング会社で働いている秋枝未来さんもそのひとり。現在、3人目を出産して育児休暇中だ。

「副業の話があったのを断ってしまったんです。子育てで本業でも周りの方に迷惑をかけてしまうことがある中、ほかのところで働いておカネをいただいてもいいのかという葛藤があって。リンダ先生はどう思いますか」

これに対し、グラットン氏はこう答えた。

「引け目を感じることはありません。次世代を育てるということは、すばらしいことです。ヨーロッパでも、あなたのような女性がビジネスを始めているケースが増えているんです。アントレプレナーの役割を果たしている。それが社会の活力になっているんですよ」

グラットン氏は、社会が変わっていく中においては、堤さんや秋枝さんのようなロールモデルが必要だと力説する。この日、グラットン氏が繰り返し口にしたのは、「あなたがロールモデルになりなさい」という言葉だった。結局のところ、「大企業に入ってよかったね」ではなく、「え、どんなことをしているの? 面白い道を選んだね」と言ってくれる人が増えていかないと、世の中は変わりようがないのだ。

著書の中でも、新しい働き方に挑戦することは「実験」であり、企業はそうした個人の実験を後押しすべきだと述べている。日本ではまだ難しいかもしれないが、実際に新しい働き方を模索している参加者を見て、グラットン氏もうれしそうだった。

長寿社会になるだけではない。これからの社会が大きく変わっていく要因の1つが、AI(人工知能)の発達だ。NHKでもAIがニュースを伝える試みを行っている番組もあるという。さまざまな職業のあり方が問われる時代、アナウンサーも例外ではない。赤木アナも、「不安はそこなんですよ。今までのキャリアやスキルを次に生かせるのか」とポツリ。AIによって社会構造や労働環境がどう変わるのか、見通しが立てられないジレンマがそこにある。

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