「夏は受験の天王山」がフランスで論外な理由 運動会も入学式もないが、受験戦争もない
フランスの学校では運動会も入学式も卒業式もなく、息抜きになるような行事が少ない。日本のような部活動もない。行事や行事の準備で授業が潰れることが少ないうえ、塾通いや部活動で疲れて授業中に寝てしまうという事態も起こりにくい。効率的に勉強ができる環境が整っていると言えるかもしれない。フランスの学校は約6週間ごとに2週間の休暇があり、夏休みは2カ月ある。息抜きは休暇中にすればいいということだろう。
バカロレアは論述試験なので、中学校から論理的な文章の書き方を学ぶ。学校のテストも論述式が多くなる。論述力は一朝一夕に身に付くものではないから、バカロレア合格のためには、普段から努力を積み重ねる必要がある。
母親も緊張する日本の受験
社会人の子どもを持つ日本人の母親は「受験は一発勝負なのが嫌よね。どんなに努力してきても、当日調子が悪かったら、それまでの努力が水の泡じゃない」と言う。数年前に子どもの大学受験を経験した別な母親は「子どもが高校3年生のときの1年間はずっとピリピリしていた。友達からも『人が変わったみたい』と言われた」と振り返る。
ある1日の試験の出来次第で、その後の人生がある程度左右されてしまう。
その緊張感が子どもはもちろん、母親にもプレッシャーを与えるのだろう。日本も変わりつつあるとはいえ、「ワンオペ育児」という言葉が示すように、子育ての責任を母親だけが強く感じる家庭はまだ多い。
マクロン政権の大学教育改革では、入学希望者に対して高校時代の成績などによる選抜が実施されることになる。これまでは、バカロレア取得者は原則として大学に入学できたために、志願者の多い学部では抽選があることや、大量の落第者が出るなどの問題があり、それに対応するためのものだ。
学生からは、高校時代の努力が認められることを歓迎する声と、教育を受ける自由が損なわれると反対する声と賛否両論あるようだ。反対派が大学をバリケード封鎖するという事態も起きている。
日本でも大学入試改革が進められている。総務省の推計では15歳未満の子どもの数は1553万人(4月1日現在)で、1950年以降では過去最低になった。大学全入時代になって久しいが、受験戦争が沈静化した様子はない。
受験突破だけを目的とした勉強ではなく、高校生活を通した学びが評価される入試制度に変えることができれば、子ども本人のみならず家族への負担も減るのではないだろうか。
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