ホンリョンと組む三井ガーデンホテルの狙い 過熱中の東京ホテル戦争にニューフェイスが登場

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ホンリョングループって誰だ?

今回の新規開業にあたってホンリョングループと手を組んだ理由について、三井不動産アコモデーション事業本部の鴉田隆司・ホテル事業部長は次のように語る。

「幅広くホテルを展開しているホンリョングループの知名度を生かし、外国人客の取り込みを狙うとともに、海外における三井ガーデンホテルの認知度を向上させたい」

日本ではあまり聞き慣れないホンリョングループだが、創設されたのは1941年で会社としての歴史は長い。金融業を中核に商社、不動産、ホテルなどを主力とするコングロマリットで、グループの資産は400億シンガポールドル(約3兆1000億円)に達する。同グループはホテル事業を「ミレニアム」「コプトーン」のブランドで展開しており、世界24カ国に100棟以上のホテルを所有・運営している。

ただ、アジアのホテル事情に詳しい業界関係者は、ホンリョンのホテルブランドについて「マンダリンやシャングリラのように市場全体に影響を与えるブランドホテルと比較することはできない」と、素っ気ない。ブランド力がいま一つということであれば、三井不動産の本当の狙いはどこにあるのだろうか。

用地コストを最小化

地上14階建ての建物はホンリョンから賃借

不動産業界で今、頭痛の種となっているのが建築費の高騰だ。高齢化などに伴う労働者の不足によって、労務費が上昇。電気代の値上げなどを背景に、鉄筋などの資材価格もジリ高が続いている。そのため、ホテルやマンションを新たに建てる際、用地取得のコストをどれだけ抑えられるかが大きなポイントだ。

今回の「ミレニアム 三井ガーデンホテル 東京」で採用している開発・運営スキームは、ホンリョングループが建設した建物を三井不動産が賃借し、傘下の三井不動産ホテルマネジメントが運営する形を取る。

つまり、三井不動産は、建設に伴うコスト上昇や物件保有による不動産市況の変動リスクを抑え、ホテルの運営に専念できるわけだ。名(=ブランド力)だけが目的ではなく、実(=開発コスト抑制)も取ろうというのが狙いだとすれば、合点のいく提携である。

猪澤 顕明 東洋経済 記者

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いざわ たかあき / Takaaki Izawa

1979年生まれ。慶應義塾大学卒業後、民放テレビ局の記者を経て、2006年に東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、ニュース編集部などに在籍。2017年に国内のFinTechベンチャーへ移り、経済系Webメディアの編集長として月間PVを就任1年で当初の7倍超に伸ばす。2020年に東洋経済へ復帰、「会社四季報オンライン」編集長に就任。2024年から「東洋経済オンライン」の有料会員ページを担当。

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