「インスタ詐欺」、主婦ばかり被害に遭うワケ 20万円の貯金を騙し取られた主婦もいた

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副業のメリットを喧伝する投稿(編集部撮影)

実際にLINEで連絡を取ると、「副業のためには初期投資が必要」という返信とともに数十万円近くの支払いを要求される。「初期投資だから仕方ない……」と思って支払いを済ませたとしても、送られてくるのは通販サイトの運営方法やFX投資で儲ける方法について書かれたPDFファイルだけ。もちろん支払った金額に見合った情報ではなく、ネットでも手に入るようなありふれたものばかり。それらを使って儲けるためには自分も同じように誰かに情報を売るしかない。つまり、情報商材ビジネスと同じ仕組みである。

筆者のまわりでもインスタ詐欺に遭った主婦たちは多くいる。地方在住のSさんはインスタグラム上で知り合ったママ友から誘われ、「家計の足しになるなら」と思って、独身時代に貯めた20万円を支払った。しかし、それで得たのは通販サイトを開設して売るための権利とその運営方法について書かれたPDFファイルのみ。そこには「家族や友人、自分のまわりの人を勧誘すればおカネが手に入る」とも書かれていたが、彼女にはそんなまねはできなかった。今も彼女は「大事に貯めたおカネだったのに。あの時、少しでも旦那に相談すればよかった」と後悔している。

主婦ばかりが被害者になる社会的な理由

副業を勧めるアカウントの投稿には、「#主婦」や「#在宅」「#ママ友募集中」などのハッシュタグが多く使われていることから、子育て中で家にいる主婦がターゲットにされていることがうかがえる。

主婦があり得もしない儲け話の誘いを鵜呑みして、騙されるのにもいくつか理由がある。まずは、「フィルターバブル」である。フィルターバブルとは検索エンジンなどの学習機能によって、インターネットでユーザーが好ましいと思う情報ばかりが表示されてしまう現象だ。被害に遭ったSさんも当時は、副業について楽観的な情報ばかりを見ていたという。

また、子どもが未就学児の専業主婦の場合、預け先がなく働きたくても働けないケースが多い。子育てにはおカネがかかるため、金銭的にも心理的にも追い詰められた主婦が副業の誘いに一縷(いちる)の望みを託してもおかしくない。そのほかにも、主婦の周囲に相談できる相手が少ない、男性ほどネットリテラシーが高くない女性が多いことも理由として挙げられる。

インスタグラムは、あくまでファッション誌のように見て楽しんだり、友人と交流したりするために活用するのにとどめたほうがいい。また、怪しい誘いが送られてきたら、相手のアカウントの名称などを検索して評判を確認したり、家族など周囲の人に相談したりするのが望ましい。

インスタグラム以外にもフェイスブックやツイッターなど主要なSNSには、詐欺業者が潜んでいる。現実同様、甘い言葉で彩られた儲け話には一歩引いて見てほしい。

高橋 暁子 成蹊大学客員教授/ITジャーナリスト

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たかはし あきこ / Akiko Takahashi

書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、企業などのコンサルタント、講演、セミナーなどを手がける。 SNSなどのウェブサービスや、情報リテラシー教育などについて詳しい。元小学校教員。『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)など著作多数。『あさイチ』 『クローズアップ現代+』などメディア出演多数。公式サイトはこちら
 

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