資金繰りに困る経営者はだいたい数字に弱い

「税理士に任せたい」は通用しない

キャッシュがなければ、従業員に給料が払えないことはもちろん、取引先の支払いも滞ってしまいます。結果、関係はますます険悪になっていき、経営に致命的なダメージを与えるリスクが高まります。

かといって、経営者がつねに資金繰りのことばかり考えていると、本業に注力することが難しくなります。これは、私が起業当時に直面した悩みでもあります。私は優秀な財務コンサルタントに出会うことができ、会社の財務状況は大きく改善されたのですが、その状況を維持するためには自社の財務状況をつねに把握しておかなければなりません。しかし、そんな時間的余裕はまったくなかったのです。

24時間働いても時間が足りないくらい忙しいプレイングプレジデントですが、さらに経営者には孤独がつきまといます。製造業であれば「急に商品が売れなくなってしまったらどうしよう」、飲食店であれば「客足が減ってしまったらどうしよう」とつねに不安に押し潰されそうになります。

その不安を解消してくれるのが経営計画です。不安がゼロになるわけではありませんが、会社の将来を事前にシミュレーションすることで、経営状態が悪化したときにはその変化に早く気づき、手遅れになる前に対策を講じることができます。

経営計画は「予算」と置き換えることもできます。しかし予算を決めるためには、まず現状の会社の数字を把握していなければなりません。

毎日1分間眺めるだけで解決策が見えてくる

会社を持続的に成長させていくために、経営計画が必要なことは前述の通りです。予算を立て、実現するためには“戦略”が必要です。戦略を練るためには、今の会社の状況を隅々まで把握しておく必要があります。

そこで、多忙な経営者に提案したいのは、電車の移動中などのスキマ時間に1分間だけでも会社の数字である財務諸表を眺めて、おカネが絡んだ経営課題に対する対策を考える時間をつくるということです。

私はこれを「1分間経営」と呼んでいます。

『プレイングプレジデントの1分間経営』(幻冬舎)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

1分間で財務諸表を繰り返し眺めることで、会社の数字が頭に残りやすくなります。結果、「自社の財務状況をきちんと把握している」とみなされ、銀行との交渉もしやすくなります。勢いだけでビジョンを伝えるのではなく、数字を根拠に交渉を進められるようになるので、具体的な成果につながりやすいでしょう。

このように、おカネに関する悩みが尽きないプレイングプレジデントでも、財務諸表を日常的に繰り返し読み込む習慣を身に付けるだけで、多くの恩恵を得られるものです。人間とは不思議なもので、最初は苦手と思っていても繰り返していくうちに脳が自然と覚えていきます。ですから、財務諸表に触れることをいかに“当たり前”にできるかが、経営を大きく左右するといえるのです。

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