トヨタ「ランクル」が世界中で愛用される理由 各地の過酷な道路環境にも耐える

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ディーゼルエンジンの利点の1つは、ガソリンエンジンに比べ燃料の質が必ずしも良くなくても稼働させることができるところにある。点火プラグによる着火ではなく、燃料が自ら燃えだす燃焼法を利用するからだ。国が異なれば燃料の質も変わり、手押しポンプで燃料を補給しているような土地ではなおさら燃料の質が定まらない。

その象徴ともいえるのが、過酷な競技で知られるダカールラリーへの市販ディーゼル車で、なおかつバイオ燃料を使っての参戦ではないだろうか。軽油ではなく、食用の廃油から精製した燃料を使い9000kmに及ぶコースを走り切り、優勝している。また植物由来の廃油を使えば、CO2排出量の削減にも通じる。

1995年からランドクルーザーは一連のダカールラリー(開催地がヨーロッパ・アフリカから南米へ変更)に参加しているが、つねに市販車クラスでの参戦にこだわってきたのも、世界の顧客を視野に入れた地道な取り組みの1つといえる。

そうした順応性のある技術を基に、ランドクルーザー/プラドのエンジンはディーゼル車もガソリン車も設計され、開発されている。

同時に近年では、未舗装路を運転した経験のない人でも、タイヤを空転させたり、下り坂でタイヤを滑らせたりしないような電子制御がほとんどのSUVに装備されている。ランドクルーザー/プラドも同様である。ただし電子部品が過酷な使用条件で故障することもありうるだろう。それを保証する電子部品が搭載できてはじめて採用できる最新技術となる。あるいは、舗装路で車線を示す白線を基準とした運転支援技術も、未舗装路へ行けば使うことはできない。

ランドクルーザーの使命

先進の乗用車に比べ最新装備の装着が若干遅れたとしても、そうした新旧技術の両立と、これまで紹介してきたランドクルーザー/プラドに期待される途方もない使用条件を損なわないことが求められるのである。

ランドクルーザー/プラドが世界で求められていることを受け、開発責任者はこう話す。

「お客様の命、荷物、夢を運んで、叶えるクルマであることが使命」だと言い、「地球上で最後に乗るクルマであると認識して開発に臨むべし」とも言う。

その哲学、志が継承されるかぎり、ランドクルーザー/プラドの人気は盤石であり、世界の人々に信頼される4輪駆動車として存在し続けるだろう。

御堀 直嗣 モータージャーナリスト

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みほり なおつぐ / Naotsugu Mihori

1955年、東京都生まれ。玉川大学工学部卒業。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務める。日本EVクラブ副代表としてEVや環境・エネルギー分野に詳しい。趣味は、読書と、週1回の乗馬。

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