三越伊勢丹、黒字浮上でも残る「3つの不安」 8期ぶり最終赤字からの回復を見込むが・・・

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今年3月に閉店した伊勢丹松戸店。以前から閉店のうわさが絶えなかった(編集部撮影)

まず不振だった伊勢丹松戸店(千葉県松戸市)を3月に閉店。同じく3月に、赤字を垂れ流していたスーパー「クイーンズ伊勢丹」の運営子会社株式66%を投資ファンドに売却した。大幅赤字だったアパレル子会社のマミーナも今期中に清算手続きを終える。さらに、これまで持ち越してきた売価にして100億円もの不良在庫を前期に一掃した。

売り上げの面でも、日本一の売り上げを誇る伊勢丹新宿本店は訪日客需要の取り込みが順調で、好調を維持している。こうした状況を踏まえると、同社の業績は一見回復しているように映る。とはいえ、決算の内容をつぶさに見ると、いくつかの不安要素が見えてくる。

「早期退職の人数は想像できない」

1つ目はリストラの不徹底だ。同社は既存の早期退職制度である「ネクストキャリア制度」を拡充し、従来よりも退職金額を大幅に積み増して人員削減を進めている。ところが、前期からの3年間で800~1200人の人員削減を想定しているが、前期の応募はわずか180人。今期は上期(2018年4月~9月期)と下期(2018年10月~2019年3月期)の2段階にわけて募集する計画だが、どれだけの人数が応募してくるかは現時点では不透明だ。

「前期は応募を始めてから締め切りまでの期間が短かった。応募人数(180人)については、そんなもんじゃないかととらえている。今期はどうなるかというと、私には想像できない。これは従業員の選択にお任せするしかなく、そこが多い、少ないはあまり気にしていない」と、杉江社長はまるで他人事のように話す。

不安要素の2つ目は、不振子会社の対応の遅れである。「業績が低迷している関連会社の対応は、ほぼ前年度で終わったと思っている。一部は残っているが、今上期中にはメドをつける」と杉江社長は自信を示す。

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