ソフトバンクグループの前期、27%営業増益 ビジョン・ファンドが寄与、最終は減益に
[東京 9日 ロイター] - ソフトバンクグループ<9984.T>の孫正義会長兼社長は9日の決算説明会で、子会社で米携帯電話4位のスプリント<S.N>と同3位のTモバイルUS<TMUS.O>が合併で合意したことに関して「売り抜けるとか、逃げるとかではなく、より大きな結果を出すための戦略的な意思決定だ」と述べ、スプリント買収は失敗だったとの見方を否定した。
同社は4月30日、スプリントとTモバイルUSが合併することで合意したと発表した。出資比率はTモバイルUSの親会社であるドイツテレコム<DTEGn.DE>が41.7%、ソフトバンクグループが27.4%となり、新会社はソフトバンクグループの子会社から外れる。
孫社長は新会社について「米国でナンバーワンの会社になることも不可能ではない」と指摘。「大きな成果の前に小さな妥協はあってもいいのではないか」と経営権を手放す理由を説明した。
さらに「私の関心がより(投資した企業群でシナジーを発揮する)群戦略の方に移ったのがひとつの重要な要因だ」と述べ、ソフトバンクグループが戦略的持ち株会社化する中での判断だったことも明らかにした。
孫社長は米国市場について「今回、1株も売却していないというのは、米国がもっとも世界で重要な市場であることは変わりないという意味だ」と強調した。
<ビジョンファンドに自信>
同社が発表した2018年3月期(国際会計基準)の連結営業利益は前年比27.1%増の1兆3038億円だった。国内通信は先行投資で減益となったものの、ビジョン・ファンドが利益を押し上げたほか、スプリント改善も貢献した。
会社実績はトムソン・ロイターがまとめたアナリスト19人の予測平均値1兆3050億円とほぼ一致した。
ビジョン・ファンドとデルタ・ファンドのセグメント利益は3030億円だった。エヌビディア<NVDA.O>の株価上昇が寄与した。
孫社長はビジョン・ファンドの今期の利益貢献について「少なくとも前期の金額を上回る。おそらく大きく上回るのではないか」と指摘。「月を追うにつれて、ビジョン・ファンドに対する自信はますます深まっている」と語った。
一方、赤字となったアームについては、非上場の間に先行投資で競争力を高め「5年後あるいは7年後にもう一度上場させる」意向を明らかにした。
全体の売上高は前年比2.9%増の9兆1587億円だった。国内通信やヤフー<4689.T>が売り上げを伸ばした。
一方、最終利益は前年比27.2%減の1兆0389億円と2年ぶりの減益となった。米税制改正のプラス効果はあったものの、前期に中国の電子商取引大手アリババ・グループ・ホールディング<BABA.N>株式の売却益を計上した反動に加え、同株資金化に係るデリバティブ損失などが響いた。
孫社長は「一時的な損益を差し引きすれば大きな増益だった」と強調した。
同社は通期予想を開示していない。アナリスト19人の営業利益予測の平均値は1兆2350億円と減益予測となっている。
孫社長は投資先のインドの電子商取引大手フリップカートを米小売大手ウォルマート<WMT.N>に売却することで合意したことを明らかにした。
*内容を追加しました。
(志田義寧)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら