品プリがメインレストランを大改装したワケ 深夜帯の「ナイトタイム需要」対応を強化

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

さらに、TABLE 9 TOKYOを離れ、宿泊施設の話題になるが、ホテルの4つあるタワーのうちの1つ「Nタワー」には、昨年10月からデリバリーロボットが登場した。客室からフロントに備品等のデリバリーのオーダーが入ると、スタッフがロボットに備品を格納し、ロボットが客室まで届ける。

デリバリーロボット「ハリー」。自動ドアやエレベーターにも対応(筆者撮影)

実際に客室までデリバリーする様子を実演してもらったが、エレベーターの前では乗客が降りるまで待機し、エレベーターに乗り込むと届け先の客室の階のボタンが自動的に点灯する。そして、届け先の客室前に到着すると室内の電話が鳴り、電話を取ると「僕はデリバリーロボットです。お届けに参りました」というアナウンスが流れる仕組みだ。

このロボットに関しては、特に女性客から「夜遅い時間でも、メイクなどを気にせず応対でき、気兼ねなくデリバリーが頼める」(マーケティング戦略の村澤真由美氏)という意見も聞かれるというが、配達中のロボットが通過するのを見た人々が好奇心いっぱいの目を向けるなど、今のところ実用的な面よりもエンターテインメント的な要素が強いように感じる。

以上のほか、品川プリンスホテルの敷地内には、水族館や映画館などもあり、ホテル全体がエンターテインメントタウン化しており、レストランはその総仕上げという印象だ。

ファミリー層が利用しづらくなるのでは?

さて、レストランのリニューアルに関して、マーケティング戦略リーダーの中尾根由梨氏は「今まで品川は、どちらかといえばビジネス街であるとともに、交通の要衝としてのハブ的なイメージの街だった。TABLE 9 TOKYOができたことで、今後は品川に目的を持って足を運んでいただけるようなエンターテインメントスポットを目指したい。また、9つの異なる食空間をご用意したことから、さまざまなお客様にお越しいただきたい」と話す。

しかし、レストランリニューアル後は、ホームページ上に「アッパーミドル層のための」と明記し、料理の単価アップも行っている。今まで利用していたファミリー層などが利用しづらくなるのではないかという懸念に対しては、「たしかに、今までご利用いただいていたすべてのお客様に継続してご利用いただけているわけではない。一方で、(リニューアルには)従来ご利用いただいていたお客様に加え、新たな顧客層を獲得することも戦略としてあり、TABLE 9 TOKYOへは実際に多くの新たなお客様に来ていただいている。また、品川プリンスホテル内には複数のレストランがあり、ファミリー層にはそちらをご利用いただけている」(市川氏)という。

なお、品川プリンスホテルは、同社のホテルブランドの中ではザ・プリンス、グランドプリンスホテルに次ぐ位置づけであり、宿泊部分とレストランのグレード感にアンバランスが生じたようにも思える。この部分をどのように調整していくかも今後の課題となるのではないか。

森川 天喜 旅行・鉄道作家、ジャーナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

もりかわ あき / Aki Morikawa

現在、神奈川県観光協会理事、鎌倉ペンクラブ会員。旅行、鉄道、ホテル、都市開発など幅広いジャンルの取材記事を雑誌、オンライン問わず寄稿。メディア出演、連載多数。近著に『湘南モノレール50年の軌跡』(2023年5月 神奈川新聞社刊)、『かながわ鉄道廃線紀行』(2024年10月 神奈川新聞社刊)など

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事