女は男より2年早く退職するが5年長生きする 女性の「早期退職」は、なぜ避けるべきなのか
こと退職に関して、女性は計算が苦手なようだ。平均的には、女性は男性よりも2年早く退職するが、5年長生きする。
明白な解決策は、女性がより長い人生をカバーできるよう十分に貯金して、できる限り長く働くことだろう。だが現実は、そうなっていない。
米投資信託フィデリティが19日発表した調査によると、一般的に65歳以前とされる早期退職を選んだ女性が、最も多くその理由として挙げたのは、健康問題だった。これは配偶者や高齢の親、孫の話であることが多い。
ボストンを拠点とするファイナンシャル・プランナー、エイブ・リンガー氏にも、これに当てはまる顧客がいる。その女性は、肺がんを患った夫の看病のため、63歳で退職。夫の死後も仕事には復帰せず、娘が働けるよう、孫の世話をしている。
この女性には十分な老後の資金がありそうだが、リンガー氏はほかに心配な顧客がいるという。
「ファイナンシャル・プランニングには常に、ある程度の不確定要素がつきまとう」と、リンガー氏は言う。
ヘルスケア費用は、退職後の最も予測不能な要素の1つだ。フィデリティの調査は、65歳以上の女性は、退職後のヘルスケア費用として14万7000ドル(約1600万円)が必要になると推計する。一方、男性の場合は、13万3000ドルで足りる。これらの数字は、長期的なケアに必要な費用は含んでいない。
65歳でメディケア(高齢者・障害者向け公的医療保険制度)の対象となる以前に退職する人は、退職前の雇用主またはオープン市場との費用共同負担という形で医療費を負担しなければならないため、さらにコストがかかると、フィデリティのケイティー・テイラー氏は言う。
おカネが尽きる事態を防ぐために、女性が戦略的に取り得る選択肢がいくつかある。
働き続けよう
女性が男性よりも貯金が少ない主な理由の1つに、女性は成人期の44%を職業に就かずに過ごすことが挙げられる。男性の場合は、この数字はわずか28%だと、メリルリンチが19日発表した女性の資産状況に関するレポートは指摘している。
その結果、男女の間で、累計100万ドルを超える賃金格差が生じる可能性がある。
これに対処するには、働く女性は、仕事を辞めることの長期的影響について考える必要がある。
「もはや、退職は入れたり切ったりできるスイッチのようなものではない」と、メリルリンチのレポートに携わった調査会社エイジ・ウェーブのマディー・ダイチトワルド共同創設者は言う。
少なくとも、労働市場に片足だけでも残しておくようにすべきだ。
「パートタイムの仕事は、大変効果的だ」と、前出のリンガー氏は言う。
リンガー氏の顧客には、60歳台前半で仕事を辞めた人がいる。年上の夫が退職したためだ。その夫はいま闘病中で、リンガー氏は夫の死後に彼女の資産が尽きてしまうことを心配している。そこで、彼女にコンサルティングのプロジェクトに携わるよう助言しているという。
「再度仕事にチャレンジする女性たちを見ると、尊敬の念を禁じ得ない。パートタイムの仕事をみつけて、有能であることを証明してしまう。こちらも勇気づけられる」と、トランスアメリカ・センター・フォー・リタイアメント・スタディースのキャサリン・コリンソン社長は言う。