韓国が期待する「北朝鮮ビジネス」の皮算用 南北経済協力の推進は経済浮揚につながるか
4月27日の南北首脳会談では、鉄道や道路の整備に関する話がされた。これは、経済協力をこれ以上遅らせてはいけないという、両首脳の思いが重なり合っていたためだ。北朝鮮は国連安全保障理事会による制裁で、昨年の経済成長率がマイナスを記録するほど経済状況がよくない。経済協力によって外資を誘致しなければ、体制の維持もきつい状況にあるというのが、専門家の分析だ。
一方の韓国にとっては、統一はできないにしても、「経済成長のための経済協力」を必要としている。経済協力で戦争間近のような地政学的リスクが緩和されれば、金融市場と内需市場にも肯定的な影響を与えるためだ。専門家らは、「戦争への不安が緩和されれば外国人観光客が増え、流通業や飲食、宿泊など関連サービス業の景気も活性化されるだろう」と見通す。北朝鮮にはふさがれた島国の経済から、大陸と連結した経済に脱皮できるチャンスだということだ。
開城工業団地の再稼働に期待
中でも、最も期待が膨らんでいる経済協力事業が、開城工業団地の再稼働だ。同工業団地の閉鎖直前、南北の貿易額は2兆9300億ウォン(約3000億円)に達していた。同工業団地が再稼働すれば、約3兆ウォン規模の経済効果が生じると韓国政府は読む。
同工業団地は2003年6月に着工され、翌2004年12月に初めて製品を出荷。2006年には北側の労働者数が1万を突破、2007年までに累計生産額は1億ドルを超えた。2016年2月10日に閉鎖された当時、韓国の中小企業125社が5万4988人の北側労働者を雇用していた。
韓国銀行と韓国産業団地公団が2014年に開城工業団地が韓国経済に与える影響を計算したが、同工業団地の付加価値生産額は2兆6000億~6兆ウォン(約2700億~6000億円)規模であり、生産誘発額は3兆2000億~9兆4000億ウォン(約3300億~9500億円)となる。
ただ、同工業団地は今回の首脳会談以降、南北経済協力が急浮上したとしても、再稼働までには時間がかかりそうだ。それは、設備の点検など事業再開のための準備や、生産後の取引先の確保といった問題が山積しているためだ。
金剛山観光にも期待が高まっている。金剛山観光が再開されれば、相対的に遅れている江原(カンウォン)道北部地域の景気活性化に寄与するものと予想される。金剛山観光が中断されて以降、破綻直前の経済状況に追いやられた同道高城(コソン)郡は、月平均32億ウォン(約3億2600万円)、総額3000億ウォン(約300億円)を超える経済的損失を被った。金剛山観光に関連する173の地場企業と納品企業が営業を中断し、280カ所の飲食・宿泊業者が廃業した。
北朝鮮は経済成長を期待し、道路や鉄道、電力などインフラ施設の建設を本格化させることもできる。道路や鉄道、上下水道、電力などは必須的な施設である。
監査法人のサムジョンKPMGによれば、「(インフラ施設は)開発初期に最優先で整備され、建設される」とし、「南北経済協力が本格化すれば、建設業の成長が先行するだろう」と予測する。
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