女性ジャーナリストは、なぜ爆殺されたのか マルタとアゼルバイジャンを結ぶ点と線

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アゼルバイジャンの顧客が違法行為を行っていたという証拠は無い。欧州連合の規則の下では、PEPの地位にあるということは即ち、そのビジネスは金融犯罪防止のために、特別な警戒下で扱われなければならないことを意味する。先述の報告書は、ピラトゥス銀行の収益性の大部分は少数のPEPに依存しており、その多数はアゼルバイジャン人である、と付け加えている。

ピラトゥス銀行の入るホワイトホールマンション(写真:ロイター)

だが、マルタや欧州連合の双方で政治的問題となった本件について、FIAUによる上述の報告書やその他の報告書は、マルタがこういったリスクにどのように対処したのか疑問を投げかけた。ピラトゥス銀行は、ジョゼフ・ムスカット首相率いる現在のマルタ政権下で営業認可を受けた。ムスカットの最側近であるキース・シェンブリが、ピラトゥス銀行における口座開設を認可したのだ。

マルタのジョゼフ・ムスカット首相(写真:REUTERS/Darrin Zammit)

2016年3月のピラトゥス銀行査察後、FIAUの査察官は、文書化の不徹底や、そのビジネスモデルが「秘密を最重視する顧客への便宜供与に注力している」ことを示唆した他の問題を列挙し、同銀行が重大な懸念のある組織的欠陥を抱えていると報告した。

その他の報告書では、ムスカットの最側近であるシェンブリに支払われた報酬についても懸念を表明した。FIAUの捜査官は、調査を実施しなかったマルタの警察当局へ、この報告書を送付した。

マルタはピラトゥス銀行の営業を停止

6カ月後、FIAUの査察官は、必要な書類を閲覧し、大きな懸念は無いと話した。同銀行は、銀行創設者であるイラン国籍のアリ・サドル・ハシェミ・ネジャドが逮捕され、資金洗浄と制裁違反の罪によって米国内での保釈が拒否された先月まで、自由に営業を行っていた。その後、マルタはピラトゥス銀行の営業を停止した。

銀行側もサドル氏側の弁護士も、何らコメントを出していない。

ヨーロッパにとっての問題は、マルタにおける金融規制の有効性であり、そのヨーロッパへの延長である。つまり、EU加盟国における銀行免許は、その他全ての加盟国で有効であるということだ。ピラトゥス銀行の営業が禁止された時、同銀行はロンドン支店の開設準備を行っている段階であった。

欧州議会がピラトゥス銀行の免許取得方法を明確にするよう欧州銀行監督局(EBA)に指示し、また、欧州委員会がマルタにおける「マネーロンダリング防止に関するEU法の適用が不適切または不十分」という主張に関する調査をEBAに指示した後、EBAはマルタにある2つの金融監督機関に対する「予備調査」を2017年11月に開始した。EBAのスポークスマンによると、この予備調査は依然継続中とのことである。

FIAUは、予備調査を受けている金融監督機関の1つである。もう一つは、マルタ金融庁(MFSA)で、ピラトゥス銀行に免許を与えた機関である。同銀行の事業を継続させた理由について、両機関に問い合わせを行った。先週、MFSAより、「ピラトゥス銀行に対し、疑義を抱くに足る証拠が無かった」との回答を受けた。「法律上の措置は、証拠に基づく必要があります」とスポークスマンは言う。

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