任天堂は「スイッチの次」を生み出せるのか 経営陣が世代交代、スマホゲームにも新展開

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スイッチが牽引役となり、2017年度の業績も劇的に改善。売上高は1兆0556億円と前期比で倍増し、営業利益に至っては1775億円と6倍に拡大した。営業利益が1000億円を超えるのは2010年度以来となる。

2018年度はスイッチの販売台数が2000万台に達する見込みだ(撮影:田所千代美)

世代交代も着実に進めてきた。岩田氏の時代は、マリオの生みの親である宮本茂氏がソフト部門のトップ、「NINTENDO64」や「ゲームキューブ」、「Wii」などを開発してきた竹田玄洋氏がハード部門のトップを務めていたが、2015年9月の社長交代に伴う組織再編後は、高橋伸也氏、塩田興氏がそれぞれソフト、ハードを率いる体制になり、スイッチの開発はこの2人が主導した。

ゲーム開発では権限委譲が進んだ

2016年には執行役員制度を導入したほか、ソフト開発でも各作品のプロデューサーが最終的な制作権限を持つ体制にするなど、経営トップ以外の人間への権限委譲も推進。その結果「古川新社長と、それを囲む若手の仲間たちが私の想定していたように育ってくれた」(君島氏)という。

今回の社長人事にも、世代交代の意識が色濃く出ている。新社長となる古川氏は46歳で、68歳の君島氏から22歳の若返りとなる。1994年の入社後に経理担当として配属された後、1998年から2001年までドイツの現地法人に駐在。経営管理の経験を重ね、2015年に経営企画室長、その翌年には取締役に就任した。

君島氏は「経営企画の立場で全般の経営を見て、指示を的確に出していた。全従業員の半数を占める海外の人たちとコミュニケーションを取れることも、社長にとって大切な要素だ」と評価する。

新体制の下、任天堂はどう変わるのか。古川氏は「君島の集団指導体制を引き継ぐ。経営戦略が大きく変わることはない」と話す。社長が経営全般のマネジメントを行い、コンテンツ開発は開発部門に委ねるという経営手法が今後も継続するようだ。

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