トヨタ「ハイエース」の中古車がバカ高い理由 「日本のユーザーのため」が世界で評価される

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一方で2018年4月、トヨタは東京地区の4系列を、トヨタが100%出資する新会社に融合すると発表した。東京地区では、以前からトヨタが100%出資する持株会社のトヨタ東京販売ホールディングスが、4系列すべての株式を所有していた。もともとトヨタの孫会社だったから実態にさほど変化はない。

ただ、今後はこの動きが、メーカーに頼らない地場資本中心の地域にも発展する可能性がある。すでに自動車需要は伸び悩みの段階に入り、地域によってはトヨタ店とトヨタカローラ店の複合店舗なども見られるようになったからだ。

また以前に比べると専売車種も減った。たとえば初代プリウスはトヨタ店の専売だったが、2代目ではトヨペット店を加えて併売になり、先代型の3代目以降は4系列の全店が扱う。「アクア」や「シエンタ」も同様に4系列の併売だ。

ハイエースを扱うトヨペット店からは「トヨペット店の専売となる『マークX』は、おそらく現行型が最終型になる。プレミオも今後どうなるかわからない。そうなるとトヨペット店の専売乗用車はハリアーのみだ。他店との違いを打ち出す意味で、ハイエース/トヨエース/サクシードの商用車がますます大切になる」と言う。

現場目線のクルマ造り

ハイエースの今に至る50年の歴史を振り返ると、ユーザーに向けて、つねに同じ価値を提供して高い評価を得てきたことがわかる。それは日本のビジネスを見据えた現場目線のクルマ造りだ。ハイエースは海外でも高い評価を得ているが、レクサスのように海外向けのクルマを造っているわけではない。日本を最も大切に考えた商品開発を行った結果、海外でも高い評価を得ている。

これこそがまさに、日本車が日本車として、海外で高く評価される所以だろう。1970年代から1980年代に、北米などで高く評価されたときの国産乗用車も、今のような海外向けではなかった。日本のユーザーのために開発された5ナンバー車が(一部の車種はエンジンだけは2Lを超える大排気量を搭載したが)、日米貿易摩擦に発展するほどの売れ行きとなった。

ところが今の乗用車はどうだろうか。トヨタに限らず、日本のメーカーにとって日本は「オマケ」の市場になり、基本的に国内専売で開発された軽自動車が全体需要の35%以上を占める。中級以上の車種は、大半が海外向けになって日本人の心を離れ、その結果として多少なりとも日本的な5ナンバー車に代替えするユーザーが急増した。

ハイエースは日本のビジネスのために走り続けながら、情けない国産乗用車の衰退を横目で見てきた。「ひたすら日本のユーザーのためのクルマ造りを続ければ、日本だけでなく海外でも高い評価を得られるのにね。日本の乗用車は何をしているのかな……」。いつもの街角で、ハイエースのつぶやきが聞こえたような気がする。

渡辺 陽一郎 カーライフ・ジャーナリスト

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わたなべ よういちろう / Yoichiro Watanabe

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまにケガを負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人たちの視点から、問題提起のある執筆を心掛けている。

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