トヨタ「ハイエース」の中古車がバカ高い理由 「日本のユーザーのため」が世界で評価される

拡大
縮小

しかも現行タウンエースバン/ライトエースバンは、トヨタの傘下に入るダイハツの「グランマックス」(海外モデル)と基本的に共通化され、インドネシア製の輸入商用車になる。そのためにトヨタカローラ店では「タウンエースバンは輸入車だから、基本的には在庫を持つようにしているが、現行型は売れ行きが伸び悩む。在庫を控えるために輸入を待つ場合もあり、納期が2~3カ月に延びてしまう。

そして今の(新規格が導入された1998年以降の)軽商用車は、荷室がかなり広くなった。タウンエースバンが、魅力的になった軽商用車に需要を奪われている面もあると思う」と言う。

軽ワンボックス商用車で最も販売台数の多い車種はスズキ「エブリイバン」(2017年の販売台数は7万6442台)、2位がダイハツ「ハイゼットカーゴ」(6万3105台)だ。3位はエブリイバンのOEM車となる日産「NV100クリッパー」(3万0510台)だから、今のワンボックスバンタイプの商用車は、少し誇張すれば、小型/普通車のハイエース、軽商用車のエブリイバン&ハイゼットカーゴで成り立っているともいえるだろう。

ユーザーサービスを入念に行っている

このほかハイエースの根強い売れ行きには、トヨペット店が力を入れて販売する主力商品であることも影響している。ハイエースには前述のようにネッツトヨタ店が扱う姉妹車のレジアスエースもあるが、売れ行きはハイエースが2倍以上と多い。トヨペット店は50年にわたってユーザーサービスを入念に行い、需要を継続させてきた。口コミや紹介による新たな需要も獲得している。

そして看板商品のハイエースと併せてトラックの「トヨエース」も扱うことで、トヨペット店は伝統的に法人相手の営業が強い。これがハイエースの売れ行きにもつながる好循環に繋がっている。ちなみにトヨペット店が扱う上級Lサイズミニバンのアルファードも、法人需要が旺盛で、これもハイエースやトヨエースを扱う相乗効果だ。

トヨタは今でもトヨタ店/トヨペット店/トヨタカローラ店/ネッツトヨタ店という販売系列を残し、専門に売る車種も用意することで、経営基盤を固めると同時に各系列の個性を明確にしている。ハイエースはその象徴的な存在だ。

次ページ以前に比べると専売車種も減った
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT