トヨタ「ハイエース」の中古車がバカ高い理由 「日本のユーザーのため」が世界で評価される

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ハイエースの中古車が高値で買い取られる理由は、商用車としての機能が優れ、日本だけでなく海外でも人気を得ているからだ。特にアフリカやアジアなどの新興国では、ハイエースは人から荷物まで、すべてを運ぶ便利な道具として機能している。劣悪な燃料に対応したエンジンも用意され、さまざまな条件下で使えて、走行距離が伸びても故障しにくい。一度購入すれば長く安心して使えるから、最終的には経済性に優れているのだ。

このメリットは日本と同様、あるいはそれ以上に新興国で評価され、ハイエースの中古車輸出台数が増えて、高値で売買されている。

すべての世代で高い評価を得てきた

その一方で、ハイエースは前述のように国内需要も旺盛だ。1967年に初代モデルが発売され、ハイエースはすべての世代で高い評価を得てきた。現行型は2004年に登場した5代目になる。

ハイエースが日本で高い評価を得た理由は、本質的には前述の海外と同じだ。耐久性に優れ、長年にわたって過酷な使われ方をしても、故障しにくいことが挙げられる。内装の見栄えは最上級のスーパーGLを除くと質素だが、操作性と視認性に優れ、シートの座り心地は長距離を移動するときでも快適だ。荷室の形状も、細かい部分まで使いやすい。

そしてハイエースが歴代モデルにわたって特に注目されたのが、ボディ剛性だった。1977年に発売された2代目の頃からボディが入念に造り込まれ、たとえば左後輪だけを段差に乗り上げた状態で駐車しても、スライドドアを問題なく開閉できた。荷室の一部だけに大きな荷重が加わる荷物の積み方をしたときも同様だ。

逆にほかの車種では、無理が利かなかった。たとえばハイエースのライバル車とされる日産自動車の「キャラバン」は、2001年に発売された先代型からは積極的な対策を施すようになったが、それ以前のモデルはハイエースに比べてボディが弱かった。段差のある場所に駐車したり、荷室の一部に大きな荷重が加わると、ボディやドアの開口部が歪んで、スライドドアの開閉が困難になることもあった。

ワンボックスの商用バンは、全長の割に前後席のドア開口部が広く、ボディの後端にはリヤゲートも装着される。固定されたボディパネルの面積が狭いこともあり、剛性を確保しにくい。そのために軽自動車の商用バンも含めて、昔は段差のある場所に駐車すれば、ドアの開閉性が悪化するのが当たり前だった。

ところがハイエースはこのような問題が発生しなかったから、「商用バンを買うならハイエース」と評判になったのだ。

次ページキャンピングカーのベース車両としても好まれた
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事