五輪特需、イベント音響・映像業界に波及 業界首位ヒビノ、長野の実績武器に東京も狙う
――コンサートは東日本大震災直後に激減したが、最近はドームツアーなどが活況だ。
アーティストに定年はなく、谷村新司さん、矢沢永吉さんなど60代以上の大御所がいまだ元気に活動している。一番上の世代となる76歳の加山雄三さんも、毎年ツアーを開いている。一方、20代、10代の若手アーティストもどんどん加わり、ツアーの数が増えている。
観客にとってライブの価値は大きい。映像をふんだんに使うことで舞台演出のレベルが年々上がり、「見せるコンサート」になっている。ライブだから「聴かせるコンサート」なのは当然であり、音響も徹底的にデジタル化して音質を向上させている。昔のライブは「CDに比べて音が悪い」とも言われたが、今はCDに負けない。観客の間でも、それなら毎年行こうというリピート需要が生まれている。
照明会社やライブハウスを買収
――最近はM&Aも相次いでいます。7月に買収したファーストエンジニアリングは、新開場(4月)した歌舞伎座に輸入ブランドの調光システムを納入していたことで話題を集めました。
ファーストエンジニアリングは照明に強い。ヒビノは音響と映像を主軸にやって来たが、照明と映像は技術的にも近寄ってきている。今後は音響・映像・照明のサービスをセットで提案するケースもある。なお、新しい歌舞伎座には、ファーストエンジニアリングだけでなく、当社も直ではないものの、システム会社を通して音響機材を納入している。
――4月にはライブハウス「ケネディハウス銀座」を営むエィティスリーを買収しました。同社は1960年代に活躍したザ・ワイルドワンズの加瀬邦彦氏が代表を務めています。
M&Aについては音響と映像はもちろん、音楽とライブも含めた4つの要素に絞る考え方だ。逆にいえば、これ以外の余計なことはしない。
ヒビノでは武道館など大きな会場でやるライブ向けの仕事を長年やって来た。エィティスリーは食事をしながら聴けるという点で、ライブの提供の仕方が違う。これからライブに行く人たちの世代が上がってくると、食事をしながらライブを聴くというのが一番ぜいたくになる。ライブを提供する場としてのライブハウスにも、チャレンジしたい。
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