コメの価格が3年で3割も上昇した根本理由 なぜ主食用のコメが値上がりしているのか

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飼料用米を増やすためにとった手立てが、転作助成金(水田活用の直接支払交付金)であり、主食用米から飼料用米に転作した場合、この助成金を手厚く出すことだった。

どれほど手厚いか見てみよう。作物別にみた10アール当たりの所得と労働時間だ。主食用米だと、販売収入は10万4000円、経営費は7万1000円で、差し引き、3万3000円の所得が得られる。その主食用米にはもはや2018年度以降に補助金がなくなった。

これに対して飼料用米は、販売収入が9000円、経営費が6万8000円だが、転作助成金が11万7000円もらえるので、差し引き、5万8000円の所得が得られる。同じ10アールの水田でも、所得は、主食用米だと3万3000円、飼料用米だと転作助成付きで5万8000円なのである。

これをみた農家は、飼料用米へと転作を進めている。主食用米の国内需要は、前述のように中長期的な減少傾向が続いているから、主食用米の生産が過剰になってはいけないのはわかる。だが、冒頭で指摘したように、主食用米の価格が最近3年で3割も上昇するという事態は、やはり飼料用米への転作が過剰に誘導されているといわざるをえない。

そこまでして飼料用米が必要なのか

おまけに飼料用米への転作が、手厚い転作助成金によって誘導されているということは、そのために多額の税金が使われていることを意味する。財務省の機械的な試算では、もし飼料用米で前掲の生産努力目標の110万トンを達成するならば、この転作助成金は2016年度の676億円から2025年度には1160億~1660億円程度に増額しなければならないという。

そこまでして飼料用米が必要なのか。飼料用米では、補助金なしに自力で稼げる販売収入が10アール当たり9000円と、主食用米の10分の1未満しかない。

国内で畜産用に飼料が必要なら、コメにこだわる必要はまったくない。飼料用のトウモロコシを作れば、同じ10アール当たり3万1000円の所得が得られる。この所得は主食用米とほぼ同じだが、労働時間は主食用米の7分の1で済む。財政面から見ても、転作助成金は飼料用米の約3分の1で済む。

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